記憶のフォレスト

秋風のシャア

見えてるもの

こんにちは。こんにちは。

誰か居ますか。

草原にそびえる家に一人の者が扉を

ノックした。


はい。ちょっと待っててください。

奥の方から声が聞こえてきた。


暫し待つと壁に付いている手すりにつかまりながらこちらにやってくる女の人の姿が見えた。


すいません。僕、これを見て。

僕は孤児紹介の手紙を出した。


はい、僕名前は! 

フォレストです。


こんにちは、フォレスト君。


どうぞ、こちらへ。


どうぞ。

案内された部屋は白色の壁で日光の光が程よく差し温かな雰囲気を出している。ソファに座ると

早速、どうしてここにきたか教えてもらえると言われた。

はい、僕は…

と詳細を語った。

それで怖くて、どうすればいいか毎日不安で、何を選んでも上手くいかなくて…

そっか…今日から宜しくね…フォレスト。


エラエライ。選ぶのは怖いよね。それが正解かも分からないのだから。でも大丈夫。私が正解と思ってもらえるように頑張るから。


びっくりした。

こんなに優しそうな表情をしている人を僕は見たことなかったから。


これは?

僕は写真立てに載っている写真を指さした。

私もよくわからないの。

いつ撮ったものなのかもその写真に居るのが誰なのかも。

へぇー。

お姉さん30歳なんだ。

返事はなかった。

前を見ると…ちょっと悲しい顔をしていたからちょっと申し訳なくなった。


どこに書いてありました。

免許証…。

ああ…みちゃダメ。


人は見ているものが真実と思い込む。けれど、実際は見えているものが真実とは限らない。

この写真の中にももしかしたら…

14年前へ時の流れを遡るとそこには様々な人の軌跡がある。


月日は2020年4月のこと。

月光が窓ガラスを通過し、照らす先には美しい音色を奏でる少女がいた。 


「お願いできますか、莉愛」

そこに割って入ったのは彼女の母親であった。母親は含みのある拙い笑顔を彼女に向けた。

お母様……はい、かしこまりました。

母親の持っているお盆に目を移すと何かを悟ったかのように椅子から立ち上がる。

彼女は目の移し方、立ち上がりかたまで上品さがある。

15歳ながら家の跡継ぎを任されているためだろうか礼儀作法、家事、ピアノと何から何までそつなくこなす。


お盆を持ち、家の角にある部屋をノックする。

「お兄様、お兄様、置いておきますよ。」

兄の部屋に彼女は立ち寄り、敬語を使いお盆を置いた。

肉親だというのに敬語を使って話す彼女は莉愛。


そして、彼女がお兄様と呼んだ彼こそ莉愛の兄?の斗架である。まぁ、実は肉親ではないのだけれど。斗架はお母様の実の子ではない。

そして、心に闇を抱えている。

私はそんなお兄様の部屋に行き、お世話をするのが日課になっていた。

ドアをノックし、一言かける。

「お兄様、お母様からです。」

返事がないが、開けなければいけない。入りますと言葉をかけた後、ゆっくりと忍び足で部屋に侵入する。

別に悪いことではないが、少し強張る。

置いておきますね。後、これ薬です。

失礼します。莉愛はニッコリ斗架に笑って見せる。


「明日から私も同じ高校ですね。宜しくお願い致します。」

莉愛は斗架に敬語を使っているわけは家の方針もあるが、斗架が余りにも辛そうでどうしていいか分からなくなってしまっているのもある。

莉愛は真面目で、高嶺の花のような雰囲気をだしていた。

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