四月一日の嘘
永川ひと
第1話 三月の出来事
僕の幼馴染、
「ねぇ、ケンゾウ。これあげる」
僕、
ガヤガヤと騒がしい教室の中で、席の後ろの方で誰にも見つからない僕らのやり取り。席が隣で幼馴染であると知られているからこそ、周りから何か言われることはないのだろう。
僕はサユから手渡されたペットボトルを疑わしそうに受け取った。
「……これ飲んだら間接キスとかバカにしてくるつもりか?」
僕が訊ねると彼女はプッと吹き出した。
「そんなこと言わないよ」
「……受け取るだけにする」
「そんな気にしないで飲んでよ」
疑うことをやめない僕に彼女は声を出して笑っている。それがバカにされているようで腹が立つので、僕はペットボトルのふたを開けた。
プシュッと音を立てた飲み物が炭酸飲料であることを教えてくれる。ふたが軽い力で空いたことから飲み掛けだったのだろう。
これで間接キスとかバカにしてきたら怒ろう。
そう思ってペットボトルに口を付ける。
「うげぇろげろっ!」
僕は思わず口に含んだものを垂れ流した。その瞬間にサユは大爆笑する。
「あっはは〜! 良いリアクション! 最高だねっ!」
「中身、なんだよっ!」
「コーラとコーヒー混ぜたやつっ!」
「混ぜたら不味い組み合わせだろっ!」
サユは僕をいつもこうやってからかってくるのだ。
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