第163話 選ばれた者だけの授業




 火の1の月、2の週の陽の日。

 記念パーティの翌日。

 ミカは自室で寝込んでいた。


(…………何で国王が俺の名前知ってんだよ。)


 というショックが大き過ぎた。

 謁見中のことはほとんど記憶から飛んでいたミカだが、後からクレイリアやウルバノから教えてもらった。

 ウルバノは完全に面白がってる感じだったけど。


「会う前から陛下に名前を憶えてもらってるなんてすごいね。 そんな大物だとは知らなかったよ。」


 そう言いながら、大笑いしたいのを我慢するように、俯いて肩を震わせる。

 クレイリアの予想では、おそらく魔法学院の学院生について、陛下に多少の報告は上がっているのではないだろうかということだった。


「例えばですけど、何人くらい来年は一組に入りそうだとか、今年は【神の奇跡】の習得者が多いとか少ないとか、そうした報告が定期的にされているのではないでしょうか。」


 それは確かに報告されていてもおかしくない。

 王国軍経由なのか宮廷魔法院経由なのか、はたまた学院長から直接なのかは分からないが、魔法士の育成状況の報告が上がるのは不思議なことではないだろう。


「その時、極端に成績の優秀な者がいたら、『こんなが居ますよ』と話題に上がってもおかしくないね。」


 ウルバノは笑いたい衝動が収まったのか、姿勢を正して軽く服装を整える。


「最初、『例の神童』という言い方をされていましたから、そう呼ばれるくらいに飛び抜けた者がいます、と話題に上ったのでしょう。」

「それで、『ほほぅ、その者の名は?』とか、戯れで聞かれたのかもね。」


 それがインプットされていた可能性はありそうだ。

 というか、今の段階で国王がミカのことを知ってる可能性は、そのくらいしかないだろう。


 このことが吉と出るか、凶と出るか。

 将来、面倒なことにならないといいなあ、とベッドでごろごろしながら思う。


 コンコン。


「ミカ様。 お昼の準備が整いました。」

「はーい、今行くー。」


 それでも目先の面倒事が終わり、キスティルとネリスフィーネの料理を美味しくいただくミカなのだった。

 やっぱり、ストレスって身体に良くないね!







 翌、火の1の月、2の週の月の日。

 中等部に上がってから、学院でちょっと変わった授業が始まっている。

 変わったというか、一部の限られた学院生しか受けられない「統治」という授業。

 授業を受ける条件が「成績上位者」若しくは「貴族家の縁者」というものだ。


 貴族の跡取りが家督を継ぐのには条件があり、魔法学院か騎士学院を修了する必要がある。

 だが、これは正確な言い方ではない。

 厳密には、この「統治」の授業を修了する必要があるらしい。


 なぜ成績上位者もこの授業を受けさせるのかというと、別に貴族に引き上げてやろうという訳じゃない。

 貴族の補佐をするような立場になった時、「何にも知らねーんじゃ使えねーよ!」ということのようだ。


「内政に魔力の才能関係ないじゃん。」


 と思うが、受けるための条件に成績が入っているのでしょうがない。

 ていうか、俺そんなの受けたくないんですけど……。


 エックトレーム王国という国が、どの分野で、どのくらいの力を有しているのか。

 そうしたことにも触れる授業なので、それなりに選りすぐった者にしか教えたくないという事情がありそうだ。


 授業では、まず魔法学院のことを軽く説明された。

 国立だということはミカも知っていたが、誰が運営してんの?ということは知らなかった。

 てっきりちょくちょく口を出してくるらしい、王国軍か宮廷魔法院が運営しているのかと思ったが、直接の上部組織は軍務省だという。

 軍務省直轄の、魔法士という兵科を教育する軍人養成機関。

 それが魔法学院だ。

 このたび、学院で初めて「お前らは魔法士という兵科だ」と明言されました。

 うん、分かってたけどね。


 ただ、現在は宮廷魔法院が運営に関わっている関係上、修了後の所属先が軍とは限らず、宮廷魔法院に行く人もいる。

 あと、王国軍ではなく地方の領主軍に行く例もあるらしい。

 この辺りの詳細は、また高等部になったら行うということだった。


 そして、エックトレーム王国である。

 総人口四千万人。

 総兵力二百五十万人。

 この兵力には王国軍、領主軍も合わせ、魔法士、騎士、一般の兵士などなど、すべてが含まれる。

 人口に対する兵士の割合が驚異の六%超えである。

 スパルタか、ここは?


 ただ、人口は実際にはもっと多い。

 無戸籍の者もいるし、何より奴隷が含まれていないらしいのだ。


 また、一般の兵士に関しては専業はそこまで多くないようだ。

 普段は土木作業や灌漑工事など、公共事業に従事し、一定期間で兵士の訓練につく者と入れ替わる。

 そうやって、兵士の質と数を保っているらしい。


 そして、小麦などの穀物類や豆類など、様々な品目の食料自給率は百%を余裕で超えているという。

 何でも王都よりも北、以前アグ・ベア討伐に行った村よりももっと北の方が、丸々穀倉地帯などの農地のようなのだ。

 上空から見て、遠くに青々とした平原が広がっているように見えたが、実際は小麦か何かだったと思われる。


 割とあちこちに田畑などがあるが、国土の二割くらいの巨大な農地が北部にあるという。

 【豊穣】を持った魔法士が春先に回るのも、基本的にはこの北部の農地。

 勿論、北部では育たない作物もあるので王国中の様々な所に農地があるが、王国の生命を支える一つが、この北部の農地であることは間違いない。


 しかし、そんなに生産したって、輸送はどうするのか。

 北部から王国中に穀物を運ぶのだって、えらい大変なはずだ。

 飛行機どころか機関車すらないこの世界で、どうやってそれだけの食料を輸送するのか。

 その鍵は、魔法具の袋にある。


 ミカの持っている魔法具の袋は、横二メートル、高さと奥行きが一メートルのスペースだ。

 そして、これは個人向けの物。

 元々この魔法具の袋は宮廷魔法院で開発され、軍用というか、国家のための物だった。

 ミカが持っている魔法具の袋は、その民生転用だったのだ。


 とんでもない量を収容できる、詳細が国家機密に属する魔法具の袋があるらしい。

 商用というか、穀物などの食料輸送に使われるのは、そのバカでかい魔法具の袋。

 具体的なことは教えてくれなかったが、おそらく倉庫のような容積の魔法具の袋があるようなのだ。


 王都の人口が一千数百万人。

 それだけの人口を支える食料などはどうしているのか不思議には思っていたが、この魔法具の袋で輸送していた。

 厳密に個数を管理し、国外への持ち出しを禁じたりと、かなり厳格に管理、運用しているようだ。


 そしてもう一つ。

 五十年戦争の最後の決戦。

 二百万人もの大軍を投じた、とんでもない戦い。

 普通に考えれば、こんな規模の大軍を投入することは不可能だ。

 なぜなら、それだけの兵を支える食料など、様々な物資を送る手段がない。


 二百万人の兵士がいるのだから、単純計算で一日に六百万食が必要だ。

 一日で、だ。

 そして、それを支える食料や水を、どうやって最前線に運ぶのか。


 北部の倉庫にあってもしょうがない。

 南東の辺境、前線で戦っている兵士に届けなくてはいけない。

 普通なら無理である。

 補給担当の責任者が「それは、なぞなぞか何かか?」と聞きたくなるような馬鹿げた話だろう。

 だが、その馬鹿げた話を実現させたのが、この魔法具の袋である。


 膨大な規模の輜重隊と護衛を手配して、などとちまちまやらないで済むのだ。

 仮にミカの持つ魔法具の袋と同様に、腰にベルトで着けられるなら、早馬で駆けるようにして大量の物資を前線に送ることができる。


 しかも、商用よりも更に大きい、軍用の魔法具の袋というのもあるらしい。

 中身を詰め込むだけでも数日かかるような魔法具の袋を使い、前線を支えていたという訳だ。


 魔法具の袋の仕様に「生き物は入れられない」というのがあるが、これも大容量を有効に活用するための要件だったようだ。

 個人用の五十センチメートルなどと言わず、袋のでっかい入り口の上に人が立っても落ちない。

 袋の縁に立ってちまちま作業するのではなく、堂々と袋の入り口に立って作業ができる。


 この世界にノーベル賞はないだろうが、この魔法具の袋を開発した魔法士はさぞ栄誉を賜ったことだろう。

 まあ、元の世界でもノーベル賞ものだけど。こんな道具を作ったら。







 まったく期待していなかった「統治」の授業だが、いつの間にかキラキラと目を輝かせて、一番熱心に聞いてたのがミカだった。


(魔法具の袋、すっげー! そんな歴史があったのか!)


 軍用に開発した技術の民生転用。

 こんなエピソードを聞くだけでワクワクしてしまうのは、ミカが立派な厨二病患者だからだろう。


(ミピースペックとか、話を聞くだけ胸が熱くなるしな!)


 某大国の軍用品の調達規格。

 地上三十メートルの高さから、ヘリで投下することを想定し、その衝撃に耐えられるだけの耐久性を求める、なんて話を聞いた日には、もう!


 ミカは、周りに座ったレーヴタイン組の皆がドン引きするぐらいには、この魔法具の袋の話に喰いついていた。


駄菓子菓子だがしかし、そうすると一つ疑問があるよね。)


 ということで、ミカは手を上げて質問する。


「生き物は入らないということですが、そうすると手も入らないので一切取り出せませんが、それはどうなっているのですか?」


 ミカ自身、魔法具の袋を購入した時に聞いた説明だ。

 しかし、実際使って見ると普通に手は入る。

 何で?と後から疑問が湧いた。


「仕様については一切答えられない。 だが――――。」


 と、担当の講師が例を挙げてくれた。


「例えばその生物の身体の何%以上は入らないとか、手だけは入るとか、何らかの設定を施してやれば可能ではないかね?」


 実際の仕様は教えてくれなかったが、何らかの方法で利便性、実用性と安全性の釣り合いを取っているのだろうとの答えだった。


(魔法具の袋は、確か【付与】で機能しているんだっけ?)


 購入した時に、そんなことを言われた気がする。

 耐熱や耐水なども付与されているので、他にも細かな設定がされているのかもしれない。

 普通に使う分にはまったく気にならないくらいに洗練された、非常に優れた設定だ。

 開発されてからの長い歴史の中で直面した、様々な難問と苦悩と葛藤の結晶が、今の魔法具の袋なのだろう。


(すごいなあ。 プロピーェクトXで取り上げてもらいたい。)


 是非とも、詳しい開発の苦労と、如何にして克服したかを教えていただきたい。


 そんな、一人だけ目を輝かせるミカを、リムリーシェだけがにこにことして見ていた。

 他は皆、この授業の何がそんなに面白いのだろう、と不思議そうな顔をしてミカを見るのだった。







 ちなみに、こんな物持ってたら検問なんか意味なくね?と思って聞いてみたら、やっぱり意味なかった。

 ただし、ご禁制の物を持ち込んだりしたことが発覚した場合、魔法具の袋を所持していたり、魔法具の袋で持ち込んだと、めっちゃ厳罰になるという。

 まあ、魔法具の袋なんか無くたって、どんなに厳しく取り締まっても持ち込む奴は持ち込むしな。

 完全に防ぐことなんかできない、イタチごっこだね。







■■■■■■







【ルーンサーム 大聖堂】


 司教執務室。

 大銀貨が百枚以上入った袋がテーブルに置かれ、袋を挟んで司教と一人の女性が座っていた。


 女性はヒュームスと名乗った。

 二十代前半の、黒髪でグラマラスな身体つきをしている。

 男性の視線を集めそうな、とても魅力的な女性だ。

 そして、それを本人もよく理解しているようで、少々露出の多い身なりをしている。

 教会に礼拝に来るには、少しばかり眉を顰められそうなくらいには。


「それは、まことですか?」


 ヒュームスの話に、司教は驚いたように目を丸くする。


「ご存じありませんでした、司教様? 私も王国こちらに来て驚いたのですが、そのような噂をあちらこちらで耳にしまして。」


 そう言って、今まさに驚いたと言わんばかりの表情をする。


「【解呪ディスペル】の【神の奇跡】は、失われたはずですわよね? それを使う者がいるというのですもの。 本当にびっくりしましたわ。」


 ヒュームスは、長い足を優雅に組み替える。


「【解呪ディスペル】を使えるなどと騙る者を、教会は許して良いのですか?」


 その言葉に、司教は難しい顔になる。


「……それがまことならば、教会としては見過ごせませんな。」

「ですよね?」


 ヒュームスは色気のある笑顔で、司教に同意する。


「アークゥが、こちらの司教様でしたら、きっと真剣にお話を聞いてくださると教えてくれましたの。 良かったわ、とても誠実な司教様で。」


 そう、ヒュームスが抜け抜けと言って見せる。

 今、目の前にを積んで見せたところだというのに。


「アークゥ殿はとても信心深い、素晴らしいお方だ。 貴女のような聡明な方が友誼を結ぶに相応しいお方です。 しばらくお見えになっていませんが、きっと大変にお忙しいのでしょうね。」


 アークゥというのは通商連合の実業家で、時折ふらっと現れてはをしていく。

 教会の郵便網を少しばかり使わせてやったり、荷を運ぶ時に教会の荷であるという証明書を発行してやるだけで、だ。


「帰り道で、途中で寄っておくべき大聖堂はございます? 司教様のようにお話を分かる方に、お会いしたいのですけど。」

「七公国連邦でしたね。 大変な長旅だ。 道中お気をつけください。 幾人かの大司教と司教宛に紹介状を書きますよ。」

「あら、親切。 ありがとうございます、司教様。」


 そう言ってヒュームスは、テーブルに更に三枚の金貨をコトン、コトンと置く。

 司教は満面の笑みで、満足そうに頷いた。







「ただいまー。」


 ヒュームスは宿屋の部屋に入ると、机に向かって本を読んでいた少年に後ろから抱きついた。


「ただいまー、お兄ちゃん。」


 十代の後半くらいの少年は、突然のハグにも驚かず、そのまま読書を続ける。


「ただいま、ただいま、ただいま、ただいま、ただいまっ。」


 ヒュームスは反応を返さない少年に抱きついたまま、ぶんぶんと揺った。

 さすがにその状態では本を読めないのか、少年が苦笑して顔を上げる。


「お帰り、お姉ちゃん。 首尾は?」

「お姉ちゃんがヘマする訳ないでしょ? とりあえず次の目的地も決まったわ。」


 そう言ってヒュームスは妖艶な笑みを浮かべる。

 だが、少年はやや渋い顔になった。


「まだ回るのかい? そろそろお兄ちゃんは研究に戻りたいんだけど?」

「えー、ちゃんと付き合ってよ、お兄ちゃん。」


 ヒュームスが甘えるように少年に言う。


 さっきから、この二人の一人称、二人称は滅茶苦茶である。

 ヒュームスは二十代前半。

 少年は十代後半。

 順当に考えれば、姉と弟の関係のはずだが。


 突然、ヒュームスの表情ががらりと変わり、一瞬で険しくなる。

 目が吊り上がり、殺気が迸った。


「忌々しい【解呪ディスペル】は根絶やしにしたはずなのに! また使い手が現れた! 今度こそ…………今度こそ、この手でっ!」


 だが、ヒュームスの殺気をすぐ近くで受けているはずの少年は、涼しい顔だ。


「それがそもそもおかしいんだよ。 何で【解呪ディスペル】を使える奴が残ってるんだ? とっくに全員殺したじゃないか。」

「分かんないわよっ!!!」


 少年の言葉に、ヒュームスが悲鳴のような声を上げる。

 ふぅーっ、ふぅーっ、と獣のように呼吸をするヒュームスの頭を、少年が撫でる。


「大丈夫だよ、”フムス”。 お兄ちゃんがついてる。」


 そうして頭を撫でられるうちに、”フムス”の興奮も落ち着いてくる。


「僕たちがあんまり連邦を離れてると、また”アクウァ”に怒られちゃうから。 帰り道にいくつか寄ったら、あとは教会の連中に任せよう?」

「…………そうね。 ちょっと、お姉ちゃんが意地になり過ぎてたみたい。 ごめんなさい、”ウェントゥス”。」


 ”ウェントゥス”の言葉に、”フムス”が素直に頷く。


「あ、そろそろ餌の時間だ。」


 微かに聞こえる鐘の音を聞き、”ウェントゥス”が机の横に置いた雑嚢を手に取る。

 そこから、大き目の魔法具の袋を取り出す。


「そろそろ湯場に入れてやらないと、臭くって困るよ。」


 ”ウェントゥス”が愚痴のように呟くと、”フムス”が苦笑しながら窓を開ける。

 そうして、”ウェントゥス”は魔法具の袋に手を突っ込むと、乱暴に取り出す。

 ――――人を。


 どさっと床の上に投げ出された男はひどく怯えながら、それでも呻き声一つ上げない。

 さらにもう一人、袋から取り出され、同じように乱暴に床に投げ出された。


 袋から取り出された二人の男は怯えながら、慌てて身を寄せ合う。

 男たちは”ウェントゥス”と”フムス”を見上げるような真似はしない。

 目が合えば、気に障ってしまえば、どんな目に遭わされるか分からないからだ。

 それはもう、長い軟禁生活で十分に理解していた。


 モデッセの森の遺跡の調査中、赤い髪の青年に捕まった研究仲間は五人。

 だが、すでに残ったのは二人だけ。

 三人のうちの一人は目の前で殺された。

 他の二人がどうなったかは分からないが、おそらく生きてはいないだろう。


 ”ウェントゥス”と”フムス”は化け物だった。

 捕まった研究仲間たちは全員が魔法士だ。

 それも、宮廷魔法院に入ることを許されるほどに優秀な魔法士。

 だが、そんな魔法士が何もできない。

 なぜなら、”ウェントゥス”と”フムス”の二人は呪文を必要としないからだ。

 【神の奇跡】を発現するのに、呪文を必要としないのだ。

 ただ手をかざしただけで人がバラバラになった。


 気に障ったというだけで、合成魔獣キメラと戦わされた。

 今生きているのは、【癒し】を使えたおかげと、気まぐれで許されたからだ。

 こんな地獄のような日々でも、それでも死にたくなかった。

 だから――――。


「ほら、食え。」


 ”ウェントゥス”という少年の姿をした化け物が、魔法具の袋からパンを床に放る。

 そのパンを、涙を流しながら二人で頬張った。


 ”ウェントゥス”と”フムス”はまともじゃない。

 呪文を必要としない【神の奇跡】もそうだが、人を入れることのできる魔法具の袋など、まともな人間の持つ物じゃない。

 どうしてこんな物を持っているのかも分からないが、化け物に怯えながら、それでも一日一日を生き延びることに必死だった。


「あー……、早く帰って、実験したいなあ。」


 そんな”ウェントゥス”の呟きを、男たちは絶望よりももっと暗い思いで聞くのだった。




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