第14話 バカと天才は紙一重
「そう言えば、助手よ。頼んでおいた、お菓子は買ってきたのか?」
「ああ、たんまりとな!!」
俺は自信満々に大量の菓子袋を持ち上げた。
「おお、流石我が助手。これでブラッドファミリーの一員により一層馴染みましたね」
それは嬉しいことなのか?
「どう考えても嬉しい事でしょう!!つまり、会社で言えば出世と同義ですよ!!」
このグループと会社を一緒にするのはどうかと思うがな。
「そういえば、みんなを集めた理由ってなんだ?」
「ふっふっふっ、それを聞くのかい?」
「じゃあ良いや」
橋田は予想通りポカーンとした顔になってしまった。
「なんでですかー!?ここまで聞いといて結局ヤメですか!?」
橋田はムーッとした表情をし、こちらに近づいてくる。相変わらず顔が近い。
「うそうそ、教えてくれ」
「ふん、良いだろう。」
喜怒哀楽が激しいなこりゃ。
「今回皆を招集した理由。それは......親睦会、改め、テスト勉強会だ!!」
そういえばもうすぐ中間テストがある事をすっかり忘れていた。テストなんか、去年は悲惨過ぎて教師の頭を抱えさせてしまったんだ。点数は勿論真っ赤だった。
「良いですねー、勉強会。皆んなで協力して一つの目標に向かってやるのも絆が深まるって訳です」
シロネさんはごもっともな事を行っていた。
ふと、気になったのだが、アンドロイド、つまりロボットであるシロネさんの記憶力は如何程あるのか?全てを覚えてしまうのか、それとも人間と同じくらいの記憶力なのか。今度のシロネさんのテストの結果を見てみよう。
「勉強会などしなくても、私は天才だからしなくても良いのでは?」
「大塚が一番必要な事かもしれませんけどね」
大塚はポカーンとしている。バカ丸出しだ。
「ではオペレーションスタートです!!」
俺たちは倉庫にへとしまれていた長机を取りに行った。力担当だと言われ、俺と大塚で来てしまった。俺は不思議と不安を感じていた。
少し歩いた所に古びた倉庫がそこにはあった。
「あれが倉庫か」
「そうだ、ここにはさまざまなものを入れている。怪我しないようにしないとな!」
大塚はどことなく嬉しそうだ。
「そうだな」
倉庫を開くとかなり埃まみれで普段使われていないことが明白だった。かなりガラクタが散乱しているが。
俺たちは倉庫の中に入り、比較的手前に置いてあった長机を持って俺たちは基地にへと戻る。
長机を持ちながら大塚は話しかけてきた。
「塚部ちょっと聞いても良いか?」
「なんだ?」
「私って、本当にバカなのか?」
大塚突拍子もない事を言い出した。俺は少しビックリしたが冷静にこう答えた。
「ああ、バカだ」
「めっちゃハッキリ言われた!!」
大塚は驚いた表情で足を止めた。
「やっぱり私、自分では凄い天才だと思っていたけどなんだか最近はみんなからバカと呼ばれる気がするんだ。それで自分はどっちなのか分からなくなってしまった」
なるほど。大塚はいくらバカだと言っても一人の女の子なのだ。思春期なんだから何かで悩むのも無理はないだろう。てか、俺も大概バカだし。
「なるほどね。でも良いんじゃねえか?バカの方が天才よりも楽しいと思うぞ」
「そ、そうかな。」
「馬鹿と天才は紙一重だからな。バカである方が一周回って賢いのかもしれない。大丈夫だ、自信を持て。俺はバカの方が好きだぞ」
間が空いたのち、塚部は少し開いた口を閉じ俺にこう告げた。
「塚部......ありがとうな」
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