Digital20.新たな戦力の強化

 ――地下深くある謎の研究室

 一人の男はアイギスに渡された映像を見ている。

 その映像は白夜がアルターエゴを召喚した時の映像だった。

 映像が終わると男は白夜に関する書類を見て呟く。


「大神白夜、身長は172センチで体重は56キログラム。家庭は父親が虐待した事で母親が精神病院に入院、彼は親戚に引き取らずに孤独にいていた……」


 男は呟きながら書類を整理する。その中にはクロードやイザナのも書かれていた。

 男は一通り書類を整理し終えて映像を切る。





▲▽▲▽▲▽





 白夜がアルターエゴを召喚してから一週間経つ。

 今日も授業が終えて四日前から始めたトレーニングを終え、全身疲労の中で寮に帰っている。

 白夜は四日前から始めても、かなり暇そうにつぶやく。


「ハァァ、アルファベットの警戒度を下げるためとはいえ、一週間難も無しはキツイな……」

「アルファベットじゃなくて心理之迷宮アルファポリスだから」


 白夜の言い間違いにイザナは少し苦笑いで突っ込む。

 マァ、確かに心理之迷宮アルファベットとアルファベットって少し似ているよな~。

 なんて思いながら寮に入る。中に入るとなぜかかなり騒がしかった。

 一体何が起きているんだ? そう思いながら周りを見る。

 人が良く集まっているのはダイニングで、人込みをかき分けながら進む。

 そこにいたのは難しそうな本を読んでいるイズナさんがいた。

 女子たちはイズナさんに指しながら話し合う。


「ねぇねぇ、何でイズナ先輩が二年の寮にいるの!?」

「誰かと待ち合わせているとは聞いたけど、まさかここまでイケメンなんてね!」

「後でサインしてくれるか頼もうかな!?」


 俺は少しイズナさんの人気ぷっりに少し呆れてしまう。

 うわぁ……知っていたけど物凄いな……。

 少し呆れているとイズナさんは俺達に気付き始め、俺達に近づいてくる。


「あ、イザナにクロード君達。もう来たんだね」


 イズナさんはそう言いながら、本をカバンに入れてこっちに向かう。その時に他の女子生徒はこそこそと話し合っている。


「ネェ、何なのあれ?」

「イズナ先輩の弟や天才君は分かるけど、何であの狂暴な大神君が呼ばれるの?」

「さぁ? でも最近は大人しくしているよ?」

「う~ん、大人しいの良いけどいつか暴力沙汰を起こしそうかも……」

「「だよね~」」


 俺は女子生徒たちが話していた内容に少し引いていた。

 なんというべきか……白夜が良く嫌われているよう凄いな……。

 少し本人を見ると全然気にせずにいる。毎日女子生徒たちに嫌われているんだなぁ……。

 本人の慣れさ加減にすごさに感心しつつ、イズナさんが良く場所について行く。

 イズナさんに着いてきた場所はビリーさんのお店だ。

 あ、もしかして……。


「もしかして白夜にも装備を買うの?」


 イザナがイズナさんにそう聞くと、イズナさんは首を縦に振ってこたえる。


「うん、白夜君も特殊野外活動部に参加する事になったし、素手だと効率が悪いからね」


 イズナさんはそう答えると俺達と一緒に中に入る。

 白夜はガロンに入ると目の前の光景に目を輝かせる。

 それもそうだ。だって目の前に映る見た事無い物が大量におかれているからな。

 そう思いながらビリーさんに事情を話す。


「なるほど、そんなことが起きていた何て……驚きだピョン」

「ピョン!?」


 白夜はビリーさんの語尾に驚いている。

 その事については良くわかる。なんせ俺だってその口調にはかなり驚いているからな。

 白夜の気持ちを汲み取りつつ、白夜を呼び寄せてビリーさんに見せる。

 ビリーさんは白夜の頭上からつま先まで見ると、奥から鉄製の小手を取り出してみせる。


「筋肉質の上に柔軟な体質だから小手で隙の少ない攻撃をし、ショットガンで全体的にダメージに与えれるピョン」

「へぇ~……」


 ビリーさんのチョイスに白夜は感心しつつ見ているが、何か物足りなさそうにしている。

 俺としては似合いそうだけど、白夜は少し物足りなさそうにしていると、壁に架かれているロケットランチャーと鉤爪に目を向ける。

 壁に架かれている灰色の迷彩柄のロケットランチャー、鉄色の鉤爪を見ながら呟く。


「これが良い……」

「エ?」

「ピョン?」


 俺とビリーさんは白夜の言っている事を理解できずに呟く。

 しかし白夜は壁に架かれているロケットランチャーと鉤爪に指しながら言う。


「俺、この二つが良い!」

「エ、エェ!?」


 俺は白夜が言う事に驚くが、ビリーさんはかなり感心している。


「なるほど。爪で斬撃と打撃を与え、ロケットランチャーで爆発を吹き飛ばせて大ダメージを与えるピョン」

「う~ん、それもそうだけど……もし弾切れになったらそのランチャーでバットみたいに使うぞ?」

「エェ……?」


 俺は白夜がもしものための使い方に少し呆れてしまうが、ビリーさんに至っては真面目に考えていた。


「なるほど……確かにそれなら鈍器みたいになるから、ある意味天才だピョン」


 ビリーさんは真面目に考えているけど、多分あれは力任せなだけだから。

 そう思っているとカバンからアルフォンスが出て呟く。


「一応アホだな~って思っていたけど……まさかここまでとはねぇ」

「誰がアホだ!」


 白夜はアルフォンスの陰口を聞いて、青筋を立てながら叫ぶ。

 アルフォンスも「出来る限り声を小さくしたんだけどな~」と耳を触りながら呟いている。しかしアルターエゴ使いじゃないビリーさんは首を傾げながらイザナに聞く。


「喋っていたのはカバンからひょっこりしているリスだけなのに、だれも馬鹿なんて言ってないピョンよ?」

「えっと……多分、聞き間違いじゃないですかね!?」


 イザナは少し焦りながら誤魔化し、俺達の方に近づいて小さく話す。


「ビリーさんが怪しまない内にアルフォンスをカバンの奥に押さえて……!」


 俺はイザナの言われた通りにアルフォンスをカバンの奥に押し込む。

 するとアルフォンスは小声で苦しみながら叫ぶ。


「チョ、ちょっと!? さすがの僕でもこれはキツイよ!?」

「しょうがないだろ! さすがにこの事はあまりしゃべれないし……」


 俺は文句を言うアルフォンスをなだめる。

 仮にもこの生き物(?)を言っても理解できず、それどころか頭の病院へレッツゴー! ってなる可能性が高い。

 俺が変人だと言う事は絶対阻止するまで!

 一応肝が据わったとは言えど、常識を無くして感覚がマヒするつもり何て一ミリもない。

 そのため何が何でも誤魔化し切る!

 その後は白夜の戦闘は近接が爪、遠距離はロケットランチャーでせん滅する事になり、あしたの休みであの城を攻略する。

 そのため俺達は明日に備えて早く準備を終え、そのまま睡眠する。

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