第5話 序列決め
レティアからエレナに変更しました。
————————————————————————
「———……眠い……」
幹部たちとの地獄の集会から一夜明けた次の日。
俺は昨日のストレスからくる腹痛に真夜中に格闘していたせいで、クソ寝不足の状態で学園に来ていた。
今でこそ何とも無いが……普通に徹夜したときよりコンディションが悪い。
くそッ……やっぱり集会なんて出るんじゃなかった。
あの後幹部達を問い詰めてみたのだが、どうやらダークワールド以外にストーリーに関係することには触れていなかったようだ。
そこには安堵したが、何でダークワールドを潰したのか聞いて、『ヤミ様が「ダークワールドって不気味だよな」って言ったから』と返ってきた時はマジで震えた。
どうやったら『不気味』→『組織ごと壊滅させよう!』となるのか一度じっくりと聞いてみたいもんだ。
ダルそうだから絶対に聞かないだろうけど。
早くレイシアちゃん来ないかなぁ……と思っていると、残念なことにレイシアちゃんじゃなくて今は会いたくないストレスの元の1人、イリスが来た。
イリスはズンズンと俺の下にやってきて俺の肩を掴んでガクガク揺らしてくる。
「ヤミ様、何で置いて行ったの!?」
「1度自分の胸に手を当てて考えてみろ」
俺はガクガクと揺さぶられながら吐き捨てるように言う。
イリスは俺の言葉に一瞬動きを止めるも———次の瞬間には顔を真っ赤にして頬を膨らませた。
「〜〜っ、酷いよっ! ヤミ様もボクの貧乳をイジるんだ!」
「いや何でそうなる!? 俺が言ってんのは胸のことじゃなくて今までの言動を思い返してみろってことだよ! お前の頭はピンクか!」
「?? 私の髪は黒だよ?」
「〜〜〜ッッ!!」
例えが全く通用しないイリスが俺のことを本気で心配そうに見てきて、普通にキレそうになる。
しかしTPOを考えて何とか叫ぶのも行動に移すのも抑えた。
あ、あぶねぇ……この教室にレイシアちゃんが来るって思ってなかったら思いっ切りアイアンクローしてたわ……。
「ふっ……レイシアちゃんに救われたな、イリス」
「?? ちょっとよく分からないけど……そう言えばヤミ様はどうして教室にいるの?」
絶妙にムカつくことをほざくイリスが唐突にそんなことを訊いてきた。
俺は一瞬『コイツ何いってんだ?』と思ったが……そう言えば全然クラスメイトが来てないことに疑問を抱く。
同時に———自分のやらかしに気付いた。
「あー、くそったれ。全部昨日の集会のせいだ……つまりイリスのせいだな」
「ええっ!? どうしてそうなるの!?」
俺は鞄を持って席を立つ。
そして———あと5分で序列戦が行われる競技場への全力疾走を開始した。
———序列戦。
それは、入学した生徒が全員必ず行わなければならない最初の行事であり、今後のその者の立場を決めると言っても過言ではない行事でもある。
序列は基本的に学年で分けられているため、序列1位が1、2、3年でそれぞれ1人ずついることになるわけだ。
更に学園内序列というのもあるのだが……それは100位までしかないので、学年序列200位中の100位を目標としている俺には全く関係ない。
あ、因みに授業開始にはギリギリ間に合わなかった。
ただ、競技場がアホみたいに広くて教師にバレてないのが不幸中の幸いだ。
「———それじゃあ早速序列戦を始めようと思う! 一先ず入試の魔力測定や実技の成績を加味して相手を俺が選んだから、それの通りに並んでくれ!!」
馬鹿でかい声でそう叫ぶのは、ボディービルダーのようにムキムキな近接戦闘科の教師———バルトだ。
彼はゲームではMAX☆5のゲームである『神秘と5人のイケメン魔法士』でも☆3程度のモブだが……普通に魔法使いとも渡り合えるそれなりの実力者である。
もう50過ぎだってのに随分と元気なこった。
さてさて、俺の相手は……げっ。
俺は映し出された対戦表で自分の名前を見つけると共に思いっ切り顔を顰める。
何故なら———対戦相手にイリスと書いてあったからだ。
えぇ……イリスが相手とかダルすぎなんだけど……。
しかもレイシアちゃんの戦い見れないじゃん……最悪。
いや待てよ……?
「さぁ、Aグループの者達は武舞台に上がってくれ!」
バルトの掛け声と共に、俺はイリスと共に武舞台に上がる。
ただ、Aグループはレイシアちゃんや攻略対象の王子様や『神秘使い』の1人である剣聖の息子がいたりと注目選手が多いのか全く俺達は注目されていない。
まさに俺の計画を遂行する絶好のチャンスである。
よし……これならレイシアちゃんの戦いが全部じゃなくてもちょっとは見れるぞ……!
「ヤミ様、久し振りの手合わせだね!」
「ああ……そうだな」
俺はニコニコしているイリスに悪いと思いながらも軽く身体を解し———。
「———試合開始!!」
「———行くよ、ヤミ様!!」
「悪いな、イリス」
———向かってきたイリスの首に、俺達を見ている試験官すらも目に追えない速度で手刀を落とす。
「っ!?」
まさかこんなお遊戯会でここまで力を出すとは思っていなかったらしいイリスは視線だけ俺の手刀に向けたものの、なす術なく意識を刈り取られる。
意識を失ったイリスの身体は制御を失って地面に投げ出されそうになるが、その前に受け止めて試験官を呼んだ。
「すいません。彼女、突然意識を失ったんで保健室に連れてって貰えます?」
「え、あ、あぁ別に良いが……」
「ありがとうございます! それじゃあ!」
後で何か埋め合わせをしてやるからな、と心の中でイリスに謝った後、レイシアちゃんの下へと本日2度目の全力疾走で向かった。
待っててレイシアちゃん!
絶対見届けるから!!
———この時俺は気付いていなかった。
「———あ、あの人……何者なの……!?」
—————————————————————————
ここまで読んで下さり、ありがとうございます!!
モチベで執筆スピード変わるので、続きが読みたいと思って下さったら、是非☆☆☆とフォロー宜しくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます