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「花村の告白を断るやつはいないだろうってことだよ」
にっこりと笑って実は言った。
「え」
少し驚いた顔をして、咲は言う。
咲は体を起こす。
「宮森。本当にそう思っている?」
「もちろん。嘘はつかない」
自信満々で実は言う。
正直なところ、それは本当に咲を勇気付けるための嘘ではない。花村咲の告白を断るようなやつがこの中学校にいるとは思えない。絶対の絶対に、……と言われると、もちろん言い切ることはできないのだけど、ほとんどの男子は絶対に花村咲の告白は断らないだろう。
そう実は確信していた。
そして、そのことをそのまま実は咲に伝える。
咲はそんな実の話をすごく真剣な表情で聞いていた。(それはどうしてだろう? 女子の友達と男子の友達では、こういう相談の答えも違ってるものなのだろうか?)
「……まあそういうわけでから、絶対に大丈夫。自信持って告白しなって」実は言った。
「なるほど」うんうんと強く咲はうなずいた。
どうやら咲は恋の告白に手応えのようなものを持ってくれたようだった。いや、よかった、よかった。恋の応援をしてくれと言われたときはどうなるかと思ったけど、告白さえすれば、美人の花村なら絶対にうまくいくのだから、これでなんとか自分の使命は果たせたことだろう。と実は思った。
それから実はちらっと教室の時計を見た。
時刻は五時。
そろそろ下校の時間だ。
実はもう教室を出たいと思っていた。
咲もこうして話をして自信を持って、満足してくれたことだろう。これで、今日は解散だな。あとで恋の告白の報告が楽しみだ。と実は思った。
……しかし、いつまでたっても咲には移動をしようとする意識が見られない。まだ帰ろうとはしていない。(咲はなにかを真剣な表情で考えていた)
そんな咲のことを見て、まだ話し足りないことがあるのかな? と実は疑問に思った。
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