第18話 スキル獲得
「さて、それではスキル獲得ルーレットを行いたいと思いま〜す。まずこちらをご覧下さい。この円盤にはスキル名の書かれたマスがあります。僕がこの的をクルクル回すから、こちらの弓矢でこの円盤を射って貰います。当たったマスのスキルを取得できると云う獲得方法です」
「サミュエル、創造神様は本気で言っているのか?」
頭に、はてなマークが浮かんでいるであろう辺境伯が俺に質問してきた。
「あぁ。勿論、本気で言っていますね。折角ですから貰っておきましょう。こちらに不都合はありませんから。創造神!何発射れるんだ!」
「一人2射までね。とは云え刺さらないと面白くないから刺さった2射までにしてあげよう」
「随分と大盤振る舞いじゃないか。また、良からぬ事が有るんじゃないか?」
「なっ、な、何言ちゃってんの…そう!これはサミュエル達への婚約祝いだよ~!ほらっ、ちゃっちゃと始めるよ!」
何だか挙動不審ではあるが、
「どうします?誰から行きますか?」
「では、私から行きましょう。貰えるのであればどんなスキルでも有り難いですから。」
先発はラウゴットが志願したので、ラウゴットが創造神の所に行き、弓矢を引き取って戻って来た。すると、的がスーっと10m程下がって行き回転を始める。ラウゴットは一連の的の動きを気にせず、弓をつがえて的へと放つ。
間髪入れずに2射目を放つ。2射共に的には的中すると的の回転が止まり、こちらに引き寄せられる。
当たったマスのスキルは〝状態異常耐性〟と〝追跡〟と云うスキルだった。
「ほう、まあ良いんじゃないの。ラウゴット手を出しなさい」
ラウゴットが握手をする様に、手を創造神に出すとそれを握って握手をすると、創造神の手から光が漏れて直ぐに消える。そして再度光って消えた。
「これで、スキルの授与は終了。はい次は」
「では次は俺が射ろう」
ラウゴットから弓と矢を受け取りは辺境伯が立候補する。
「それじゃ。的を設置するよ~」
的が先ほどと同じ様に、スーッと下がりながら回転を始める。そして10m先で下がるのが止まると辺境伯は弓を射る。すぐに2射目も放つと2射とも中央付近に当たった。
回転が止まり、こちらに引き寄せられる。
当たったマスのスキルは〝身体金剛〟と〝遠見〟のスキルだった。
「はい、イグナエル手を出して」
ラウゴットと同じ様に握手をしてスキルの授与が終了した。次はエルミーラが
「私、弓は上手くないのですけど頑張ります」
それを聞いた創造神は、
「大丈夫、大丈夫。距離のハンデをあげるから。」
と言って的を5m位の位置で止めて回転もゆっくりと動いていた。
エルミーラが弓をつがえて放つと的から外れそうになったと思ったら的が矢へ当たりに行く様に動いた。そうしてかろうじて的に当たる。2射目もやはり的が動いて刺さった。しかも真ん中に当っている。俺が、
「おい創造神、的が意図的に動いて無かったか?」
「えっ。目の錯覚でしょう。ねっ、イグナエル君はどう思うんだい。まさか動いていたなどと思ってないよねぇ~」
「はいしっかり固定されておりました。動いてなどおりません」
「だそうだよ、サミュエル。言い掛かりは止し給えよぅ」
「……。分かった。目の錯覚でしたね」
引き寄せられた的に刺さったマスは〝全属性魔法適性〟と〝詠唱破棄〟だった。
「創造神、もの凄く、ご都合が宜しい気がするのだが」
「サミュエル、君がそんなこと言っていいのかい。君もかなりのご都合スキルじゃないか!」
「はい、すいませんした!」
「では、エルミーラちゃん、手を出して」
「はい。でも私、魔力をそんなに持っていません。魔法を取得出来るとは思いませんが」
「大丈夫、大丈夫。加護を与えた時にね魔臓をパンパンに膨らましておいたから心配ないよ」
と言って握手をしスキルの授与をする。
「さあ、最後にサミュエル君の番だよ」
「いやっ、俺は良いよ」
「いやいや、折角、サミュエル用の的を作ったから、挑戦してくれよ~」
と自慢の的を取り出す。
「え~とっ。この真ん中のパジ○ロって駄目なやつでは、それにこの大部分がタワシなのは……。あの番組好きだったのね。はい挑戦させて頂きます」
的が後ろに下がり10m程で停止、回転を始める。俺は中心目掛けて矢を射るが少しずれた様だ。2射目を放つがこれも中心では無かった。的が戻って来ると、〝タワシ〟〝しゃもじ〟だった。
創造神は腹を抱えて爆笑している。
「ギャハハ。ギャハハ。そこで落としてくれる君はやはり僕の使徒だよ。ギャハハ」
ムカッと来るが、相手は神なので何も出来ない。
「創造神、そろそろ返してくれ」
「ヒャハ、あぁ、はいはいそれじゃあね〜
あっ、言い忘れたけど深淵の森に野良ダンジョンがあって近々、ダンジョンブレイクするかも、頑張ってね」
最後に爆弾を落とされて、意識が教会に戻って来た。
我々、4人は取り敢えず立ち上がり無言で教会を後にし、馬車に乗り込んだ。
「サミュエル、苦労したのだな。俺が使徒であったなら髪の毛が無くなっておったであろうなぁ」
「サミュエル様、私は髪の毛が無くなってもお慕いします」
「サミュエル、上司の理不尽に付き合う苦労はもの凄〜くよく分かるが、辛抱が肝心だぞ」
「義父上、良〜〜く肝に命じております」
そうして、どっと疲れを感じながら領主館に戻るのだった。
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