27話 カイラン編。 妹。
妹から手紙が届いた。
家令のルッツに対する報告が。
突然の手紙を読んでどうするか考えた。
妹は、王太子妃になるため幼い頃から教育を受けた優秀な妹だった。
それがいつの間にか仕事がまともにできない無能、わがままばかり言う悪女として周知されるようになった。そして婚約破棄された。側妃になるはずもそれすら断り屋敷に引き篭もるようになった。
屋敷の中でドレスや宝石を買い漁り、我儘ばかり言って使用人達を困らせていると聞いていた。
父上が騎士として有望なセフィル・ブレイシャスをブロアの婚約者に据えた。我儘ばかりのブロアは俺にとっても父上にとってもどう扱っていいのかわからない厄介な子だった。
幼い頃のブロアは母上が亡くなっても大人しくて聞きわけが良かった。俺自身は母上が亡くなった寂しさを勉強に集中していたので妹のことにあまり関心がなかった。
結婚して広大な領地を運営していかなければならなくなって、毎日が忙しくたまに王都に戻ってはくるものの妹と顔を合わせることも少ない日々。
屋敷のことはルッツに任せていたので心配することは特になかった。
それが………
ルッツが横領?妹がこの国を去る?
ルッツが屋敷で行った横領や虚偽、ルッツが屋敷の主人のように振る舞ってきた行動などの報告書が添えられていた。
最後の願いにとブロアに付けていた護衛騎士のサイロとメイドのウエラを頼むと書かれていた。
二人はブロアのためにと動いてくれていたためかなり冷遇されていたと書かれていた。
だがブロア自身がどんな状態で生活していたかは書かれていない。ルッツからの報告や王宮でされていた噂話、社交界でのブロアの悪い噂、全てが悪いものだった。
俺自身、そんなブロアへの関心興味はなく妹と言ってもほぼ他人のようなものだった。
王都の屋敷に帰っても部屋から出てくることもなくまともに挨拶すらしてこないブロア。
もしかして態とルッツがブロアに伝えていなかったとか?
考えてみたらブロアが俺に会いにきたことはないし、屋敷を歩く姿もあまり見たことがない。
俺は領地の仕事を執事達に任せて王都へ向かうことにした。
そして、屋敷に着くとブロアの姿がなくなっていた。
「カイラン様、お願いです。話を聞いてください」
屋敷に着くとすぐにサイロが俺の前で跪いた。ブロアが屋敷を去ってから三日後のことだった。
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