第9話 追い出されても仕方が無い

僕は端により自分のステータスを再度確認した。


間違いなく、何度見ても


鏑木 騎士

LV 1

HP 20

MP 0

ジョブ:剣士 異世界人

スキル:翻訳


だった。


「かなり低いステータスですね、気を落とさず頑張って下さいね」


まぁ自分から魔法を拒んだんだから仕方ないよな。


「頑張ります!参考に教えて頂けますか?このステータスだとどの位の能力なのでしょうか?」


異世界人より低いのは解るがどの位なんだ。


「村人でももっと強いですね、恐らくは子供位でしょうか? 本当に気を落とさずに頑張って下さいね」


なんで僕はあんな事を言ってしまったんだ。


「そうですか、それは残念ですが頑張ります」


「気を落とさずに頑張って下さいね」


「はい」


ハァ~なんであんな事を言ってしまったんだろう?


それにあの頭に浮かんだ人は誰だったんだ。


何もかもが解らない。


だけど……魔法も使った事も無い。


魔力さえない僕なのに……


『魔法を戦闘なんかに使っちゃいけない』


『魔法には愛と勇気と希望がある』


『魔法使いに出来なことなんて無い』


そんな事が頭に浮かぶ。


僕は妄想癖があるのかも知れない。


だが、現実問題としてこれからどうするかだな。


ハァ~一時の妄想で馬鹿な事してしまったな。


◆◆◆


その日の夜、他の同級生が歓迎会でご馳走を食べているなか僕だけが呼び出されていた。


「すみません、貴方は魔族と戦うにはステータスに問題があります! 身分証明と手切れ…いや支度金を渡すので出て行って貰えないでしょうか?」


マリン王女に言われてしまった。


事実上の解雇通知みたいな物だな。


僕はクラスの異世界召喚でこの世界にやってきた。


僕達を召喚したのはこの世界にあるエルドマインという国。。


異世界人召喚の呪文で僕達をこの世界へ呼び出した。


まぁ、明らかに一般人以下。


この国の普通の人間以下の能力の僕は正に追い出されようとしている。


だが、これは仕方が無い事だよな


この世界は魔族と戦って貰う為に召喚した。


だけど僕は異世界に転移する時に『望んでしまった』から。


『魔法を使いたくない』と。


その望みを女神様が叶えた為か僕は魔力が無く能力が低い。


僕の戦う能力は他のクラスメイトより遥かに低い。


だから『仕方がない』と諦めもつく。


僕はこのまま、此処に居ても仕方がないな。


「解りました!ご期待に沿えず、すみません。」


僕は快諾して城を出て行く事にした。





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