第23話 繋がり
「――あぁ……もう繋がった。ごめんねぇ、あの時は。ごめんねぇ。でも、またこうして繋がった。私を必要としてくれて、私を頼ってくれた……私を、私が必要なのね。すっごく嬉しい。誠くんの中に私の力が、私の血が入って行き、どんどんお揃いになっていく。誠くんが私のモノとなっていく……」
頭の中、ぼやけた人影が見える。口調、言葉、姿は見えはしないが感じられる雰囲気、全てが不気味に感じる。彼女がアセナの集落を襲い、セレーナの国を潰した魔女。ヤバい奴ということはわかっていた。分かっていたはずだが、想像の何十倍もの不気味で、嫌悪感のある魔女。
「……でも、まだ足りない。もう少し時間が必要かな? 誠くんは私を愛せていない。大丈夫だよ、私はずっと待ってるから。またすぐに会うことになるよ……」
繋がりが消え、声が消える。それと同時に頭にまた声が聞こえる。
『強欲のスキルが発動しました。
「解を出せ。」
『――解。ララノアの力を解放する。』
これほど苦労して手に入れた力だと言うのに、思ったより期待外れの能力だなと思う。
解放の仕方とか教えろよ!? どうすれば良いんだよ! 力を上げるには……
「ララノア! これでアイツを!!」
樽の残りの血を全てララノアにかける。突然の事で口に入りむせている。
これは賭けだ。思いつく最善の方法がこれしか見つからなかった。だがこれで――
ララノアの魔力が膨れ上がりあたりの温度が下がっていく。氷が地面を凍らせそれを溶かす炎。分が悪かった。炎はみるみる消えていく。
「相性が悪いな……アイツを殺すまで俺は死ねない。ここは一旦引くとしよう。だがお前ら魔女の手下共もいずれ殺すからな覚えておけよ」
激しい炎を出しそれを消す氷の煙の中に姿を消した。城の大穴から飛び降りたのだろう。
「修復費……払え――」
払わないまま逃走して逃げられてしまった。ともあれ難は逃れた。城も体もボロボロになってしまったが、皆何とか生きている。
「――アセナ何もやってないです。戦いたかったです……」
「アセナがアイツと戦ってたら毛が全部燃えることになるよ?」
「……やっぱり戦わなくて良かったです!」
セレーナが消えちゃったけど、幽霊だしまた戻ってくるだろ。
「使徒様申し訳ごさいません。魔女教らのことを頭に入れておくべきでした」
深々と頭を下げ謝る。今回は彼女に責任は無い。むしろ戦闘では助かったこちらが頭を下げるべきだろう。
「いやいや良いって良いって。こっちも助かったし」
まぁ、多少金貨を借りるだろうけどね。ちょっと多く貰っても良いかな……
「あの男は始末しますか? 今からではそう遠くには行けません。」
セレーナを消された恨みもあるしな。あと城の恨みも。
「セレーナを消したやつは何処にいる?」
近ければ赤い点として表示されるが線として表示されている。逃げ足の速い奴だ。この国からはもう出ているだろう。大した傷も与えていない追いかけた所で勝てるかは分からない。セレーナが一人いないのもある。
「レヴナントって消えても戻ってくるよね……? 戻りし者だし……?」
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