偽りの笑みは揺るがない

それさえもっと、確かにすれば、あの冬の日の全能から、目覚めることなどなかったのに。


それは限界だった。体の限界、精神の限界、人には到底到達不可能。

だが、私は至ったのだ。全知全能の良識は私を神にも等しくした。日々の記憶も悲しみと慈悲のうねりとなって、歓喜の涙を滴らせる。


今は総身を包み、歓喜の光が網膜に七色を象る。


あの日に見た彼に会いたい。 


だが、彼は私のパラノイア。


あのあどけない笑みも、優しいキスも、熱いセックスも、全て、全て……。


死んだら彼に会えるのか。わからないよ。いつか、未来に会えるとしたら、私は生きていたいのに。その確信がないので、私は死を考える。


彼に触れたい、愛し合いたい。


彼の笑みは記憶の中で揺るがない。

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