腕時計

 僕の腕時計は大変お洒落で上品だ。二本足の猫型でいつも上等なシルクハットと燕尾服を着用してる。こういう形の時計は初めてだったけど、外出の時にはちゃんと付いて来るし時間もぴったり正確だ。

「さて今日は何の日でしょう」

「ほう、吾輩に時の謎掛けかね」

 一年前の今日、彼は僕の時計になった。時を刻む彼だから当然覚えているんだろう、金の猫目は嬉しげだ。少し奮発して良い茶葉を買って帰ろう。きっと今日は文句を言わない。

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