第33話4-3 魔の森

4ー3 魔の森


この1年で変わったことは、他にもあった。

僕は、ストレージの中の村を拡大していっていた。

村のある魔の森ごと、村を拡げていったのだ。

そして、今では、村の中には、巨大農場や、放牧場、ツチドリの飼育場やら、ポーションなどの製造工場まであった。

今や、これだけの施設を村人だけで稼働させることは不可能だった。

僕は、労働者を求めて、カスケード王国の外である魔界へと向かった。

カスケード王国と魔界の境界線上の辺りに暮らしている魔族の人々に極秘裏に接触をはかり、そして、村への移住を募ったのだ。

カスケード王国と魔族の戦いに巻き込まれ苦しんでいた人々は、僕の話に喜んでのってくれた。

僕は、それだけではなく、カスケード王国からも移住者を探そうとした。

だが、なかなか魔族と暮らそうという人は見つからない。

仕方なく、僕は、奴隷商人から多くの奴隷たちを購入して、村へと送り込んだ。

奴隷たちは、最初、魔族を恐れていたが、しばらくたつと、打ち解けていった。

魔族たちも、人間を警戒していたが、今では、同じ共同体の仲間としてお互いに認めあうようになっていた。

村をまとめるリーダーは、相変わらずラック爺だったが、ハヅキ兄さんとナツキ兄さんもラック爺のサポートをしてくれていた。

カヅキ兄さんは、新しくできる『カピパランド』とカンパニュラの街の長となってもらうことになっている。

だが、それには、条件があった。

「温泉がなかったら、俺は、長なんてやらない」

というわけで、僕は、言霊の力で温泉を沸かせた。

「体によくって温かいお湯がどんどん溢れてくる」

その言葉通りに肌に優しい、温かいお湯が無尽蔵に沸きだしてきた。

こうして、この1年の間に、僕たちの生活は、180度変化していった。

相変わらずカスケード王国内では、身を潜めての活動だったが、アゼリアさんの協力のおかげで、僕たちの企業は、どんどん巨大になっていった。

それは、カスケード王国としても無視できないものになっていっていた。

『カンパニュラ』グループは、カスケード王国でもかなりの力を持つようになっていっていた。

といっても、王国の人たちは、『カンパニュラ』グループがあの魔の森の村人の手になるものだとは気づいてはいなかった。

フランシスは、僕たちのことを秘密にしてくれていた。

ストレージの中に村があるとは知らないだろうが、どこかに僕らが村を隠していることは知りながら、知らない振りをしてくれていた。

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