第468話 タコ料理とモフモフ
『それは
「これは
まるで日本語の教科書に載っているような会話だ。
『だよな!!!』
「ふぎゃっ!?」
急に大声を出されて、反射的に耳を手で塞いだ。
最近、叫ぶ攻撃されることが多くない? 耳栓を常備しろってこと?
『悪魔が……変わり果てた姿に……!』
『悪魔が……悪魔じゃない……うん……?』
『タコ野郎が成敗されたー!』
ダロンが僕に話しかけてきた時に、会話に耳をそばだててちょっと静まっただけで、興奮は冷めてなかったらしい。
まあ、今は嫌な感じの騒ぎじゃなくて、歓喜っていう雰囲気だからいいけどさ。
最初はまた怖い顔で追われることになるかと思って、ちょっとビビッたよ。
「あー、すまん。ここでこれを出すのは問題があったか?」
オジさんが気まずそうに口を挟んだ。
ダロンがオジさんを見て、目をパチパチと瞬かせる。
『いや? ただ、これは我々にとって長きに渡る宿敵なのでな……。昔、我らの領地を荒らし回った厄介者なのだ。総力を挙げて退治に乗り出した途端、どこぞへ逃げて隠れてしまったのだが……いつか恨みを晴らさねば、とずっと思っていた。退治してくれたこと、礼を言うぞ』
なるほど?
僕はオジさんと目を合わせて頷き合う。
そのせいで、リュウグウのために必要な
僕は「そっかぁ」と頷いた後、オジさんに視線を向けた。
「ねぇ、これ、
「いいぞー。たくさんあるからな!」
オジさんはすぐに僕の提案を受け入れてくれた。僕がこう言い出すって予想していたみたいだ。
でも、オジさんが「実はまだあってな──」とさらに取り出そうとするから、みんなで止めることになった。
ダロンの顔が引き攣ってるのが、オジさんは見えてないのかな!?
「
オジさんは僕が叱りつけても「いやー、そうか? 悪い悪い」とのほほんと笑ってる。心臓強すぎじゃない?
「それ、モモには言われたくない言葉だよな」
ルトがポツリと呟いた声が、なぜか大きく聞こえた。しかも、たくさんの人がその言葉に頷いてる。
なんで?
僕、自重が必要なことなんてしたことな──くもないかもしれないけど、ほとんどしてないよ!
……ちょっぴり否定しきれなかったから、目を逸らしちゃった。えへへ。
◇◆◇
人もエルフも獣人も
その料理を作ったのはもちろん僕です!
今日はナディアがいなくて、料理が得意な人もいなかったみたいだから、僕一人の作業だった……がんばったよ! ラッタンに手伝ってもらえばよかったな。
「うまい!」
喜んでもらえてよかったよー。
みんなのために惜しげもなく
『ほう……これは美味だな』
『そうね。あなたはこっちも好きじゃないかしら?』
『どれ……うむ、旨い。メーアはこちらが口に合いそうだな』
『あら、ほんと。美味しいわ』
ダロンとメーアが仲良く料理を食べてる。
周りにいるお付きの
二人の仲を僕の料理が取り持てたなら嬉しいなぁ。
陣地争い決着のお祝いパーティーだったはずが、完全に
僕はもふもふに囲まれて幸せな気分! オジさんがテイムモンスターを召喚してくれたんだ。
僕もラッタンとヒスイ、ペタ、オギン、ショコラを召喚したよ。
「君はトラの子どもっぽいね〜」
「ぎゃう」
「あ、シロクマくん、僕のタコ飯取らないで〜」
「がう?」
僕の右にいるのは、トラの子っぽい姿のモンスター。大きさは大型犬くらいあるけど。顔が幼気で可愛いんだー。
左にいるのはシロクマくん。こちらもぬいぐるみチックで、可愛い。ショコラと並ぶと、テディベアが二体いるみたいに見える。
「わうっ」
「秋田犬くん、シロクマくんを怒らなくていいよー。って、猫ちゃん、それ食べられるの? チョコレート入ってるよ?」
「ふにゃ」
「美味しいならいいや。たくさんお食べ」
僕のタコ飯を盗んだシロクマくんを、秋田犬っぽい子が叱ってくれてる。ありがとー。お礼にジャーキーをあげるね。
反対の手で、メインクーンに似た猫ちゃんに追加のチョコレート入りマシュマロを渡した。ショコラ用に用意してたんだけど、猫ちゃんも気に入ってくれたみたいだね。
「だぅ」
「君はどでかいウサギ……? 某国民的アニメ映画に出てくる、森にいる不思議生物にちょっと似てるね」
僕を抱っこしてきた子に目を向ける。めちゃくちゃ大きい。
この子は
トウロは寝そべりながら僕をお腹に乗せてくれたんだけど、この体勢だと「トウロ! きみ、トウロっていうんだね!」と呼びかけたくなっちゃう。……自重します。
とりあえず、もふもふまみれで僕は幸せですー♪
〈
突然のアナウンスに固まった。
「……わっつ?」
称号を獲得して驚いてる僕の近くでは、オジさんも「えっ!?」と叫んでいる。
「オジさん! もしかして、称号もらった?」
「……もらった。【
「あれ? 僕がもらったのと違う……」
僕がもらった称号の効果を確認しながら、オジさんの称号についても詳しく聞いてみる。
——————
称号【
海中でピンチになると、ヘルプコールを出した時に、
称号【
——————
……おお、オジさん、
似てる称号名だけど、効果が全然違うんだねぇ。
「結構みんなが入手できそうな称号だな。友の方が難度が高そうだけど」
オジさんが分析しながら頷く。
「なんで?」
「友好度って、そう簡単に上がらないんだぞ……?」
きょとんとしながら問いかけたら、オジさんにちょっと引き攣った顔で言われた。
僕にとって、友好度ってレベルより上がりやすいイメージだったんだけど、違ったらしい。
「モモはたぶん相手の好みを無意識の内にピンポイントでついて、友好度上げまくってるよね」
「幸運値が効果を発揮してる気がするよな」
リリとルトの言葉に、僕は「なるほど」と頷いた。
言われてみれば、そうかもしれないねぇ。
友だちがたくさんできるから、ありがたい特技です! これからも友だち増やすぞ〜!
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