・達見ゆう「Under the Storm」

　梨乃は、ある台風の日に、嵐の中を飛ぶ龍の姿を見つけた。一方、飛んでいた龍も、梨乃のことには気が付いていて……。少女と龍の交流を描いた現代ファンタジー短編。

　達見さんは今年度の同題異話、三回目の参加です。凸凹な夫婦の「ユウとリョウタ」シリーズでこれまでは参加してくださっていました。

　今回は、（おそらく）舞台や登場人物をガラッと変えて、神秘的な存在である龍と女の子のお話です。「ユウとリョウタ」シリーズとは大きく変わったファンタジーですが、こちらも、存分に達見さんらしさを感じさせます。

　本作は、三話になっていまして、梨乃目線、龍目線、そして……という形で締めくくります。正直、三話目の展開は全く予想できませんでした。いい意味で裏切られます。

　科学が発達した現代に、龍がいる、というのが面白いですね。そこら辺のバランスをどうするのか、なかなか難しい課題だとは思うのですが、描き方が見事です。そして、その龍も、結構人間臭いところがありまして、意外と身近に感じます。

　そんな龍と、龍を押し活のように応援していた梨乃だからこその、あの三話目なのかなぁと思いました。なんというか、色々と説得力の強い一編でした。

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