異世界転生したと思ったら「留学か死」を命じられたんだがww
飛翔
転生、そして楽しい船旅(棒)
留学か死かとか冗談かなww?
「王として命ずる。『秋の国』へ留学してきてほしい。断ったらその場でお前を解体する」
目が覚めると機械が混じった身体に俺の魂が宿っていた。
目を覚ます前の記憶はところどころ欠けている。
ただ朧げな記憶の中の俺は、あまり、いや、全く褒められた人間ではなかったらしいということははっきりと覚えていた。
そして状況がうまく飲み込めずぼんやりと立ち尽くす俺に対し、目覚めて初めて出会った険しい顔をした上品な青年は、開口一番そう言ったのだった。
「……目覚めて初めてかける言葉がそれってのはなかなかひどくないっすか」
切れ長の目に細身の高身長イケメンから放たれる冷たい視線と有無を言わせない言葉に気圧されながら、ようやく絞り出した俺の言葉の弱々しさよ。
我ながら情けなくなる。
諸君、イケメンの本気の脅しは普通のそれより遥かに怖いぞ。
「説明したいのはやまやまだが、私はこの後急ぎの政務がある。お前の起動に想定以上の時間がかかったため悠長に説明する時間はない。そこにある荷物を持って、港に急いで向かってくれ」
急かすように言われて慌てて足元を見ると大小いくつもの革の袋が置いてある。
……革の袋?今時スーツケースとかリュックとか色々あんだろ。
「聞こえなかったか?早く迎え!セッカ、彼を案内しろ!」
王だと名乗った青年の隣に立っていた顔を隠した男は「承知いたしました」と言うなり足早にこちらに来ると、俺の荷物のいくつかを持ち、「目覚めて早々混乱されておりますでしょうが陛下の御命令です、お早く」と腕を掴んで引く。
セッカの掴む力は痛がるほどではないが、俺に拒否権はないという確固たる意志を感じた。
……従うしかなさそうだ。足を縺れさせながら俺は走り出す。
「……簡単に説明するなら!」
部屋を出る時背中に王様とやらの声がかけられた。
「お前は異なる世界に転生したんだ!」
……どうやら俺は記憶の中の俺が大好きなファンタジー小説を始めとする媒体で散々見聞きした『異世界転生』をしてしまったようだった。
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