第二部 第一章:ウオロイ山ダンジョン攻略ゲーム
18:ショーの第二幕 開演
第二部会場に、18人の勇者全員が集まった。各グループごとに分けて並んだ僕たちを見て、観客は大盛り上がり。この歓声の中に、きっとリオンもいる。そして、司会としてティ・フォンが登壇した。当然、その隣にはアニさんが立っていた。
「第二部を駆け上ってきた勇者たちよ。まずは私より、祝福を。おめでとう! 君たちは選ばれに選ばれた第一部のラストワンだ。そして、この第二部では個の力ではなく協力して望んでもらいたい! 第二部のショーは長編だ。 名付けて『ウオロイ山ダンジョン攻略ゲーム』だ!!」
長編? また新しい単語が出て来たな。だが、観客からは聞き慣れているうえで驚きを示していた。ティ・フォンは彼らのリアクションを大いに気に入り、深くうなずきながら改めて語りだした。
「勇者諸君にはこの会場から始まるダンジョンを3人一組になって攻略し、頂上である666階にたどり着いてほしい。ただし、頂上に上るまで2回中間審査がある。その時、基準をクリアできなかったチームから脱落していく。チーム間での足の引っ張り合いはなし。他チームへの妨害は、エンタメ程度に好きにしてくれてかまわない。以上が大まかなルールだ。なにか、質問は?」
「そのパーティはどうやって決めるんだ?」
1人の男が声を上げた。あれは、ティ・フォンのグループの先頭か。ってことはティ・フォンのショーを1位通過したカインとか言う奴か。
「さすが、僕のショーを1番盛り上げた勇者。いい質問だ。パーティは各グループ交流の意味を込め、混合パーティとする。では、チームを発表する!」
パーティメンバーもう決まってるのかよ! 自分で決めるのが一番楽しいところじゃないのか! いや、そういうのはもう省略ってことなのかな......。まあいいや。それで、俺のパーティメンバーは誰だ? ティ・フォンの背後に浮かび上がった画面を目を凝らすと、俺の名前が載っていた。俺のメンバーは......うわ、さっきのカインとか言う奴だ。あとアルバート組からはあのロボットか。ていうか、お嬢様も一緒に行くの? 大丈夫かな......。
「それでは諸君、パーティメンバーの元へ」
それぞれが開示されたメンバーの元へ挨拶しに向かった。俺も、2人の元へいかないとな。
「あなたが我々のパートナーですの?」
モタモタとしていると、スターロック家のお嬢様ティルがこちらに近づいてきた。間近で見ると、彼女の縦ロールがふわふわと揺れて気になるな。
「あなたは......。たしか、スターロック家のティルか」
「そうですわ。元より、勇者はこちらですがね。ほら、ゼノ挨拶しなさい」
挨拶を振られたのに、金属製のロボットはびくりとも動かない。クモのような6つ目を光らせているだけだ。
「ゼノ!」
「ネガい......。ウルサい。......ダルい」
ええ......? ロボットでも、そんな怠惰な感情あるんだ......。困惑していると、もう一人のパーティメンバーであるカインが近づいてきた。灰色の髪がきらりと輝き、イケメン臭を漂わせるシャツと黒いぴっちりとしたズボンが目を引き付ける。このキラキラオーラどこから来てんだよ。
「男に見られるの、あまり好きじゃないんだけどね。女の子なら、熱烈歓迎だけど」
そう言いながらカインはティルの顎をくいっと上にあげてウルウルとした目で彼女を見つめた。
「あら、いけませんわ。勇者様がグイグイくるなんて! 超絶、いけませんわ~!!」
「ウレシいくせに......」
「なにか言いまして? ゼノ」
「ナニも......」
「まあ、とりあえずみんなよろしくってことで......」
こいつら、なんかキャラが濃すぎないか? 他のグループの勇者たちもこんなにクセものぞろいなのか? でも、逆に興味が湧いてきた! これはたのしい冒険になるぞ!
「みんな、挨拶はすんだようだね。結構。では、最初の審査は100階で! それまで、グッバイ!」
そう言うと、瞬時にティ・フォンが消えた。あいつ、どこに消えたんだ? どうやって消えた? しかもアニさんもいない⁉ やっぱり、そういう魔術のようなこともできるんだな......。
「さて、行きますわよ! 私がリーダーでよろしくて?」
「仔猫ちゃんは下がってて。 ここは美しい、僕が」
「平和にじゃんけんとかにしない?」
「「それは絶対にしない!」」
ああ......この人たち、譲るって言う概念知らないんだろうな......。やばい、他のグループがダンジョンに向かいだしてる! ここはごり押しで解決するしかない。
「じゃあ、まずは半分の50階まではティルさん、50階から100階がカインでいい?」
「あなたが仕切るのも癪ですけども、遅れている今はこれしかありませんわね」
「そうだね。みんなの意見を取り入れるのも必要だからね」
「それでは、私に続いてレッツらゴー! ですわ!」
大丈夫かな、この人たち......。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます