第16話 Anyways , I know I’m just a mediocre man. Do I have time to get depressed?
光を求めてさらに深い闇へと。愚か者達は進む。あの日、出会ったあの日こそ間違いではなかったと己の胸に刃物を突き立て、ただ進む。やがて辿り着いたその場所が、広大な迷宮のほんの一部、行く手を阻む壁であろうとも。
高く積まれた石垣はしっとりと濡れていて
しかし、この先には何があるのだろう。ふと、綱渡りで片足を踏み外したかのような寒気を覚えた。
自分が何の為に進んでいるのか解らない。
「そう、それこそ君と出逢った時に私が感じた君への
背後から、
「
「馬鹿にしてんのか。
唾を吐き捨てるように呟く
「恥じ入ることはないよ。これからの出逢いが、君の中身となるのだから。私はきっとその完成を見届ける為に
眼を開けると黴臭い迷宮は消え、ゆるやかに起伏した草原が現れた。風が限りもなく駆けぬけ、柔らかな深緑の若草が
「迷うことなく君は進め」
「彼女より創られし神の複製体、その業に触れ、君はどうなるのかな。愉しみだよ」
風が止み、やがて足元の草が枯れはじめた。じくじくと泥濘が産まれる。泥土に咲く花のような美しい微笑みを浮かべて
眼を開いた
一行は舟の甲板上に居た。今は
「待て、少し待て」
頭がくっつくほど顔を寄せる
「主様を、一歩間違えば元も子も失う危険に晒してしまいました。この生命、主様の為の物とあの日に誓ったばかりなのに」
感情が爆発して言葉に詰まっている。両手を舟の甲板について前かがみになり、まるで吐くような格好で泣いた。元が獣だからか、辺り構わず威嚇しているように見える。傍らで唇を噛み締めて座っていた
「やっぱりお前ら姉弟だな。何度も云うが、俺の配下になった以上、お前らの生命は俺のもんだ。勝手に捨てようなんざ甘い考えは捨てろ。そもそも俺はな、生命に換えても偵察してこいなんて命令は断じて出したつもりもねぇよ」
しかし、と
「あぁ、もぅ!解った!じゃあ罰を与える!歯ぁ喰いしばれ!」
中指を内側に丸め親指で押さえ、中指に伸ばす力を精一杯込めた状態で額を狙い、親指を離し中指を解き放ち、額を弾く。すなわち両手式丸め中指型のでこぴんが
「俺達はもう止まらねぇ。もっとずっと強くなるんだ。俺もお前も」
「えーと、
舟頭にて行く先を眺めていた
すべすべと見るからに滑らかそうな表面を持った楕円の石。否、掌に収まりそうな大きさの白い卵が甲板の上に立っていた。舟の揺れに左右される事無く起立したそれは、異様な存在感を持って
鳥の声と間違うような飛来音。
突如、
←「
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