上級ダンジョンでピンチの美少女を救った結果
赤いねこ
第1話
「暇だなぁ」
はぁ、とため息をつきながら暇そうに頬杖をついて空をみている男の名前は、
神咲(かんざき)涼太(りょうた)。
16歳の高校2年生であり、S級探索者である。
探索者のランクには6つあり、下から
E級、D級、C級、B級、A級、S級となっている。
なのでS級探索者である涼太は最上位の探索者であり、最上級ダンジョンを攻略することを許可されている。
同じようにダンジョンにもランクがあり下から
下級ダンジョン、中級ダンジョン、上級ダンジョン、最上級ダンジョンと分けられている。
最上級ダンジョンを攻略することができる
S級探索者は世界に150人ほどおり、日本には31人の数がいる。これは世界的にみても多い数であり、迷宮暴発が海外で起きた際には日本に応援要請が来ることも多かった。そして、S級探索者として配信する人もいるなか、涼太は誰にも知られずに趣味としてダンジョン探索を行っていた。
なので涼太の元々の性格せいで高校では、
なにを考えているのかがほとんどわからないミステリアスな珍獣扱いをされていた。ちなみにクラスメイトは優しい人が多いお陰で、涼太はとても穏やかに暮らすことができている。
「おっはよー!みんなー!」
そんなふうに一人で思考にふけっていると、元気できれいでマシュマロのようにふわふわとした声が聞こえてきた。
「七瀬さんおはよー!」
「おはよー七瀬!」
クラスの人たちに挨拶を返されている肩まで伸びた黒髪の美少女は、七瀬(ななせ)由奈(ゆな)。活発でどんな人とも気さくに話すことができるまさに生まれつきの陽キャである。今日も元気だなぁ。癒されるぜまったく。
「七瀬さん明日ダンジョン配信するするんでしょ?しかも上級ダンジョンの。大丈夫なの?みんな七瀬さんになにかあったら悲しむよ。」
「大丈夫だよ。一応B級探索者になってから1ヶ月は経つし、それに何かあってもすぐに逃げるし、みんなが心配するようなことにはならないよ。」
そう言いながら涼太のとなりの席に座る。
ちなみに涼太の席は窓際の一番後ろである。そう主人公席である。
へぇ、明日七瀬の配信か。暇だし見ようかな。
あっ、ダメだ、明日上級ダンジョンにでてくる羊肉を狩りにいかなきゃ。
ぐ~~~~~~~
教室中に涼太のお腹の虫の声が響き渡る。
はぁ、楽しみすぎて朝抜いちゃったんだよな。
今日の授業大丈夫かなぁ?
そう考えていると突如、涼太の目の前に
あんぱんやじゃむぱんなど10個近いパン類が置かれる。
「涼太お前また朝飯前抜いてきたのか?」
「神咲くんは相変わらずだね。」
「君にあげるのがもったいないよ。」
そうしてパンをおいてくれた親友でもある
桜井(さくらい)流陣(りゅうじん)と七瀬、そしてその親友の渡辺(わたなべ)瑠色(るい)がそれぞれ苦言を言ってくる。
「毎度毎度ご苦労だな。別に放っておいてもいいのに?大変じゃない?」
「おまえ朝になにか食ってないと授業中ずっとお腹のおとがするから仕方なくやってんだぞ。」
「神咲くんが毎週金曜日に朝ごはん食べてきてないからクラス全員で神咲餌やり当番を交代でやってるんだよ。なんで毎週朝ごはん食べてこないのさ?」
「それだけじゃないよ。ハングリーくんは私によくお菓子をせびってくる。」
「いやー、毎週土曜日は楽しみがあるからさ。それで毎回明日のことを思っていると朝ごはんをわすれちゃうんだよねー。」
そう言いながらすでに3つのパンを食べてしまった涼太。
「相変わらず食べるの早いね。それで神咲くん明日という言葉で思い浮かぶ私にいうこと何かなぁい?」
「あぁ、初めての上級ダンジョン配信のことか。さっき聞いていたよ。明日がんばれよ。」
「よっしゃ!これで明日も無事だね!」
「別におれからの言葉でそんなに大袈裟に喜ぶ必要なくない?」
「いやいや、ハングリーはある意味神様みたいだからさ。よく食べ物を献上されているし。噂のひとつにハングリーにお言葉をもらうとダンジョン攻略が無事に終えられると思われているんだよ。」
「献上って言っても涼太は買ってきてくれた人にはきちんとお金を返しているけどな。ほんと食費とか大丈夫かよ?1ヶ月に10万は優に越えてそうなんだけどな。」
彼らがこのようなやり取りをしているなか、周りのクラスメートはとても温和で生暖かい表情をしていた。この4人の会話をこの高校の生徒たちは神々の談笑と名付けていた。
涼太はハングリーの神様と呼ばれていたのでせっかくならこの4人の会話に名前をつけようと全員の特徴をとらえた結果こうなったのである。
日本では確かに31人のS級探索者がいるという世界的にみても多い数であるがそんな日本でもC級以上の探索者は2500人ほどしかいない。(これは世界的にみても平均的な数である。)つまりS級探索者が海外よりも多いだけでC、B、A級探索者はそこまで多くないのである。そして流陣と渡辺は高校2年になったころにB級探索者となっていたので当時C級探索者の七瀬とひとまとめに雲の上の存在と思われていたのである。
「でも本当に大丈夫なのか?七瀬は初めての上級ダンジョンで配信をするんだろう?なら流陣か渡辺にサポートしてもらった方がいいんじゃないか?なぁ流陣?」
「それはすでにおれと瑠色が言ってるんだよな。でも相変わらずの頑固で一切聞かないんだよ。」
「当たり前だよ!私は普段からソロでダンジョン探索をしているし実力を上げたいからね。」
「まぁでもそこは由奈のいうとおりでもあるわね。たしかに普段からソロで潜っていたんだし、上級ダンジョンの下層と中層のモンスターは問題なく倒せるんだよねぇ。」
「なら心配するのも野暮ってことね。まぁとにかくがんばれよ。」
「うん!かましてくるぜ!」
とびきりの笑顔でそう言った七瀬であった。
そして広い家に帰ってきた涼太は妹と涼太が作ったオムライスを食べていた。
「マイシスター、明日ダンジョンで羊肉を狩ってくるから夜ご飯はバーベキューにしよう。」
「またぁ?毎週毎週バーベキューばっかじゃん。まぁお兄ちゃんが作ったものならいいけどさぁ。それよりさお兄ちゃん、明日ナナチャンネルの初上級ダンジョン配信があるんだよね。ナナちゃんクラスでどうだった?」
「とても楽しみにしていたぞ。」
「ふふっ、ナナちゃんらしいね。そういえばお兄ちゃんって今ランク何だったけ?」
「C級だな。」
「へぇ、やっぱりお兄ちゃんもすごいね!てことはわたしは毎回中級ダンジョンのお肉を食べてたってこと?」
「そうなるかな。普通に買ったら5万を簡単に越えることもあるお肉だからな。」
「なんか特別感がすごいねぇ。そう聞いたら楽しみになってきた。お兄ちゃんがんばってきてね!」
「おう!いっぱい狩ってきて美味しいお肉を食べさせてやるからな!」
今日も涼太はハングリーである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます