5話 アリアの料理

「ご主人様!おかえりなさい」

 アリアが居るキッチンへ行くと綺麗に切られた野菜と肉が置いてあった。

「上手だな経験あり?」

「少しだけです」

「十分才能あるよ、いつか店任せることもあるかもな」

「あ、ありがとうございます!」

 アリアが嬉しそうに返事をする。

「じゃ、材料肉から入れちゃって」

 竈の上に置いてある鍋に材料を入れる。

「そこにある調味料入れちゃって〜」

 油や香辛料を煎れる。

「レーナ、食料庫から丸いパンと隣に置いてある白い粉持ってきて」

 白い粉はドラッグじゃないぞ、自家製シチューの素だ。

「はいっ!」

「アリア焦げないように鍋見とけ〜」

 指示を飛ばす。

「ご主人様持ってきました!」

 レーナの腕には籠に入ったパンと瓶に入っている粉が抱かれていた。

「サンキュー」

 そこから水をやら粉やらを入れるように指示をする。


「完成ですか?」

 色々な過程を通しトロッとしていい匂いがするシチューを焦げないよう混ぜるアリアが聞いてくる。

「おう、そのくらいだ!」

「やったー!」

「わかりました」

 レーナが待ってましたって感じで、嬉しがる。

「「ただいま戻りましたっ」」

 玄関からミラ、ミアの声が聞こえる。

「おかえり〜ちょうどご飯できたよ」

「「おかえり!」」

「ホントですか?」

「ご飯♪ご飯♪」

「盛り付けて〜」

 俺がいうとレーナとアリアがシチューとパンを更に乗せる。

「ミラ、ミア運んでくれるか?」

「「はいっ」」

 俺はご飯をみんなに任せて洗い終わった風呂にお湯を沸かしにいく。

 おし、おっけ。

 俺が戻ると食卓には料理が並べられていた。

「よし、食べよ」

 俺は席につく。

「あっ、ちなみにみんなもね?俺が主人である間は一緒にご飯を食べるのは強制!」

 みんなが俺の言葉を聞いて席につく。

「いただきます〜」

「「「「いただきます!」」」」

 俺はシチューをスプーンですくって食べる。

「アリア美味しいよ」

「美味しいですっ!」

「はぅ〜美味しい」

「美味しっ!」

 みんなにも好評だ。

「良かった……ご主人様のお陰です」

「俺は作り方を教えただけだよ」

 アリアには料理の才能があるな。




「ごちそうさま」

「「「「ごちそうさまです」」」」

「ご主人様持ちます」

 レーナが俺の皿を持ってくれる。

「ありがとっ」

 俺はレーナの頭を軽く撫でた。

「えへへっ」

 みんながお皿を下げにキッチンへ行った。

「お風呂入るぞ〜服脱いでくれ、して籠に入れとけ」

「「「「か、かしこまりました」」」」

 お風呂はたぶん俺が居なくても入れるだろうが、せっかく大金で買った奴隷みんなこれくらいは許せ。

 それに発育度合いのチェックも大事だしな。

 そして俺達はお風呂に入った。




「あっ、そういえばコーヒー飲も」

 みんなと一緒に入ってきたお風呂から出てキッチンに来た俺。

 みんなは今リビングで歯磨きをしている。

 あまり平民は歯磨きはしないらしいが歯周病とか虫歯は嫌なのでこれは絶対だ。

 《浄化》でなんとかなる気もするけど歯に挟まった食べカスは取れないからね。

「ご主人様それ何ですか?」

 ミアが俺に質問する。

「これ?コーヒーっていう飲み物」

「なるほど」

 ミアの目が『飲みたい』って言ってる。

 ミアには早いと思うけどな〜。

「飲むか?」

 俺はカップを渡す。

「良いんですか!」

 嬉しそうだ。

「熱いから気をつけろよ」

「はいっ!ふぅ〜ふぅ〜」

 『ゴクッ』とミアがコーヒーを飲む。

「あちゅいっ!」

「ほら言った〜」

 でも案外苦味には強い?

「!?苦っ!うぅ〜」

 味を認識したのか苦味悶えるミア。

「ハハッ!ミアには早かったな」

「こ、これ、嫌いです〜」

 どうやらお気に召さなかったらしい。

「さ、夜だし寝るよ〜」

 俺はみんなを部屋に連れ行く。

「じゃ、おやすみ」

「「「「おやすみなさい!」」」」

 俺は廊下を歩いて自分の部屋に行く。

 俺も寝たいところだけど……手紙とかが来てるからな〜。

 俺は部屋の机の上に置かれた手紙の束をみて憂鬱となる。

「はぁ、書くか」

 俺は一通目を開けて差出人を見る。

 冒険者本部ギルド長、冒険者ギルド?

 北でなんか起こったか?

 本部ギルド長といったら全冒険者を束ねる名誉伯爵位を持っている冒険ギルドのトップだ。

 俺は手紙の内容を確認する。

 へぇ、大変だな……。

 内容を要約すると北の魔物がどうやら不穏な空気だから念のため来てくれないかということだった。

 どうしようか……。みんなが居るしな。

 でも、学院に送るならちょっと実戦の経験があったほうが良い?

 でも前線は危険だしな〜。とりあえず保留。

「次〜」

 騎士団からか。

 こっちもたぶん……。

 思った通り。前線に来てほしいということだった。

 どうしようかな……。

「あっ!」

 騎士団に貸しあったよね?俺が一度騎士団の失態を尻拭いしたことがあった。その貸しで護衛騎士をみんなにつけてもらうか。

 俺は冒険ギルドに承諾の返事を書く。

 騎士団には『貸しあったよね?人連れて行くから護衛つけろ』って内容を書いて送る。

 残り2通は……。

「はぁ……」

 公爵令嬢様と王女様だ。

 何々?いつも通りだな……。

 内容には今日どんなことがあったか、最近俺の調子はどうか、身体には気をつけてね〜的な当たり障りの無いものが書かれている。

 じゃあ、何故そこまで面倒くさそうにするのかというと。

 『プロポーズしてください!』って内容が修飾されて最後の一文に書かれているからだ。

 婚約前の貴族令嬢達がこんな手紙送ってくるんじゃないよ……。

 更にたちが悪いのは両親が同意していること。

 いつ好かれたのかね……。

 でも手紙を返さないのも悪いので最後の一文は見なかったことにして返事を書く。

「寝よ」

 俺は手紙を届けるようの魔法で手紙を窓の外へ飛ばす。

 この魔法手紙を運ぶ鳥が魔法で作られて差出人のところに送られる有能な魔法である。

 俺はベッドに倒れ込み眠った。




―――――――――

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