2話 奴隷の教育

「こちらでどうでしょう」

 店員がみんなを連れて服を持ってくる。

「どうも、買おうと思うよ」

 俺はざっと中身を確認した。

「ありがとうございます、お値段金貨3枚となります」

「ほい」

 俺は金貨を渡す。

「じゃあ、行くぞ〜」

 みんなを呼ぶ。

「またの〜アルス」

 商会長が俺達を見送ってくれた。




「ここが家だ」

 俺はみんなに言うが当たり前のように返事はない。

 家の近くには立派な造りの建物がいくつもあり屋敷が建ち並んで居る。

 扉を開けて家に入る。

 取り敢えずお風呂に入れないとみんな汚いな。

 先程浄化したとはいえ浄化は菌やウイルスを殺しているだけなので垢や汚れは落ちない。

 荷物を置き、お風呂にお湯を沸かす。これは貴族から貰ったもので魔法で動いているらしい。異世界に来て初めてお風呂に入れたときは感動したのは秘密だ。

「服脱いでくれ」

 俺はみんなに促す。

 すると無言で服を脱ぎ始めた。

 スタイルは良い。良いけど―――痩せ過ぎだなこれ。ガリガリだ。

「風呂入るぞ」

 俺はみんなを連れてお風呂に行く。

 うん、お湯は沸いてるな。いい感じ。

 椅子にみんなを座らせる。

 俺は近くに置いてあるジャンプーとコンディショナーを取った。

 ちなみに異世界には精々石鹸くらいしか無かったのでこれは自家製だ。

「水掛けんぞ」

 桶にお風呂のお湯を汲み取り、掛ける。

 手にシャンプーを出して髪の毛を洗っていくと泡泡だったシャンプーが汚れによって泡が少なくなっていく。

 俺は追加のシャンプーを取り出して再び洗う。

「洗い流すぞ」

 俺はシャンプーをお湯で流す。

 コンディショナーを取って頭皮の染み込ませるよう髪の毛の付けていく。

 よし、染み込むまで放置。


 俺はあの後3回繰り返しみんなを洗い終わった。

 体も洗ったがガリガリ過ぎて全然だわ。これからこれから。肉付きのために初期投資は大事だよ☆

「あ、あのっ」

 呼びかけられる。

 みんなから俺を呼ぶのは初めてじゃないか?

「どうした―――って」

 全裸の少女達が水を滴らせて立っていた。

 少し顔を赤らめて恥ずかしがっているようだ。

「あぁ、服か」

 俺は荷物から店員さんが選んでくれた部屋着を取ってみんなに着せていく。

 って、下着ずいぶん大人っぽい物を店員さんも選んだな……。パンツはみんな黒の紐パンだった。

「ほい」

 着せ終わってからみんなをあらてみてみるとお風呂に入って綺麗になったのと服が可愛いお陰で超絶美少女になった。

 俺は夕食を作らないと行けないのでキッチンに行く。

 何にしようか。あまり胃に重いものを食べると良くないよな。

 俺は材料を食料庫から取ってくる。

 パンを5つ包丁で食べやすいように上と下に別かれるようスライスする。

 レタスとトマトを水に浸けて洗う。

 異世界に来てから思ったんだが結構野菜に虫がいるから水に浸けて殺さないとマズい。

 ハムの塊をまな板に乗せる。

 このくらいか?

 少し厚い気もするが良いか。

 俺はフライパンを取り出してバターを入れて溶けるのを待つ。

 そして今切ったハムを5枚入れた。

 フライパンがいっぱいだな。

 焼けるを待つ間俺はさっきのレタスとトマトをしっかり洗う。

 トマトを輪切りにレタスを5枚ちぎる。

 ん?ハムが焼けたな。

 俺は皿を5枚、食器棚から取ってそれぞれ下半分のパンを盛り付けてレタスとハム、トマトを乗せて胡椒と自家製マヨネーズ風ソースを掛けて上半分のパンを乗せていく。

 おし!サンドイッチ完成〜。

「って」

 俺は食卓にサンドイッチを運んでいると、服を着せた所でずっと待っていたのか、微動だにせずそこにいるみんなが居た。

「「「「――――。」」」」

 なんか仕事を与えた方が良いのか?

「じゃ、キッチンにサンドイッチあるから運んできて」

 すると動き始めた。

 おぉ、良かった良かった。

 みんなが自分のサンドイッチを運んでくる。

「よし、座れ」

 俺は指示する。

 『ガタガタ』と椅子を引いてみんなが座る。

「いただきます」

 俺はサンドイッチを食べる。

 美味しい〜。

「食べないの?」

 俺は全く手を動かす気配が無いみんなに聞く。お腹は空いていると思うけど。

「しゅ、主人が食べているのに食べられませんっ!」

 え〜、そういうこと?

「じゃ、命令食え」

 俺は命令する。

 するとみんなは恐る恐るという感じで、お互いに視線を送りながら食べる。

「「「「っ〜〜!」」」」

「お、いしい……」

 誰かが呟いた。

 そこからはあっと言う間だった。

 みんなは競うようにサンドイッチを食べて俺よりも早く食べ終わってしまった。

「なにげに思ったんだけどさ名前教えて?」

「「「「無いです……」」」」

 え?

「?」

「奴隷に名前はありません、主人がつけるものです」

「まじ……」

 知らんかった。

「じゃあ」

 俺は1番右に座っている綺麗な白の長髪に藍色の目を持つ少女に視線を向ける。

「君がレーナ」

 その左、赤めの綺麗な髪に淡いピンクの目を持つ少女に視線を向ける。

「君がアリア」

 俺はどちらも淡い蒼色の髪を持つ双子に視線を向ける。

 似てるな。

「君がミラで君がミア」

 お姉ちゃんの方にミラ、妹の方にミアと名付けた。

「これでいこう」

「「「「……はいっ」」」」

 少しの無言の間の後、返答が返ってきた。 

 少し嬉しそうな声に聞こえたのは勘違いだろうか……?

「明日は朝から仕事手伝ってもらうから早く寝るよ」

 俺はみんなを部屋に連れて行く。

 布団って結構高いんだよ。特にベッドは。

 俺はそれぞれ用意してあった部屋に案内する。この家は前に伯爵家の人が建てさせたけど『気に入らない』と言って完成したあとに放置された物件だったから高くもなくメインストリートに面していて広くて部屋は多く値段も立地もお得な物件だった。

 ちなみに商会は敷地内に2つある別の建物の内の片方で行う。もう一個は明日の仕事場だ。

 それでも奴隷に自分の部屋は贅沢すぎるかもしれないが……。まあ、学院に行ってもらう予定だから勉強は頑張ってほしいし。部屋全部でも軽く100部屋あるので十分だ。

「レーナの部屋はここ、アリアがここで、ミラがここ、ミアがここだけどミアとミラが一緒が良いなら一緒に寝ても良いぞ」

「「「「――――はいっ」」」」

 みんなが気圧された様な返事をする。

 ま、奴隷に部屋は自分の部屋があったら驚くか。

「じゃ、おやすみね」

 俺は自分の部屋に行く。




――――――――――

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