L×R

.138『ククロセアトロ』:Sestina

冥（くら）い夜（よる）は怖（こわ）いから　赤（あか）い赤（あか）い

くりくりのお目目（めめ）のお人形（にんぎょう）と

くるくる踊（おど）るの　戯（おど）けながら

紅（くれない）　橙（だいだい）　赤色（あかいろ）に染（そ）めましょう

黒（くろ）いお人形（にんぎょう）も　白（しろ）いお人形（にんぎょう）も

暗（くら）い顔（かお）の青（あお）いお人形（にんぎょう）も集（あつ）めて

くたくたになるまで舞台（ぶたい）を赤（あか）めて

口遊（くちすさ）ぶ数（かぞ）え歌（うた）　ふたりの声（こえ）で培（つちか）い

靴音（くつおと）はタッタータカ　固（かた）い表情（ひょうじょう）も

ぐでぐでに赤（あか）める　赤（あか）いお人形（にんぎょう）と

くどいくらい延々（えんえん）と踊（おど）りましょう

ぐだぐだ踏（ふ）み仇（あだ）す詩（し）に酔（よ）いながら

孵卵（ふらん）した赤（あか）い雛（ひな）　笑（わら）いながら

ふりふりのおべべを確（たし）かめて

ふるふるぱあちく奮（ふる）う優秀賞（ゆうしゅうしょう）

触（ふ）れ合（あ）う父兄（ふけい）　赤（あか）いお遊戯（ゆうぎ）会（かい）

不老（ふろう）のお人形（にんぎょう）に凄（すご）むお人形（にんぎょう）と

ふらふらの弱々（よわよわ）しいお人形（にんぎょう）も

ふわふわとした青（あお）い色（いろ）のお人形（にんぎょう）も

不一致（ふいっち）な替歌（かえうた）　舞台上（ぶたいじょう）歌（うた）いながら

風琴（ふうきん）とラーラーララ　赤（あか）い激情（げきじょう）と

笛（ふえ）を吹（ふ）き疲（つか）れたならお顔（かお）を赤（あか）めて

不穏（ふおん）な舞台（ぶたい）　袖（そで）に下（さ）がって反省会（はんせいかい）

ぶわぶわしたお顔（かお）で笑（わら）いましょう

冥（くら）い舞台（ぶたい）でさあ一緒（いっしょ）に踊（おど）りましょう

繰（く）り出（だ）す音頭（おんどう）と小鳥（ことり）のように今日（きょう）も

狂（くる）おしく高（たか）らかに赤（あか）い舞台（ぶたい）飛（と）び交（か）い

紅（くれない）のお人形（にんぎょう）とからからと笑（わら）いながら

黒（くろ）い影（かげ）　白（しろ）い影（かげ）　青（あお）い羽根（はね）も赤（あか）めて

冥（くら）い夜（よる）の劇場（げきじょう）が　歪（ゆが）み気色（けしき）ばもうと

くらくらと灼（や）く焔（ほむら）　ふたりの約定（やくじょう）と

繰（く）り返（かえ）す童歌（わらべうた）　繋（つな）いで歌（うた）いましょう

狂（くる）う空（そら）　あったかな赤（あか）い色（いろ）を求（もと）めて

紅（くれない）を積（つ）みふざけながら踊（おど）るお人形（にんぎょう）も

愚弄（ぐろう）し合（あ）い燃（も）え上（あ）がり尚（なお）煽（あお）りながら

ぐらぐら煮（に）え立（た）った紅蓮（ぐれん）のお遊戯（ゆうぎ）会（かい）

冥（くら）い夜（よる）は赤（あか）い赤（あか）い　可愛（かわい）いお人形（にんぎょう）と

くるくると踊（おど）りながら笑（わら）いましょう

黒白（くろしろ）　青（あお）いお人形（にんぎょう）も真（ま）っ赤（か）に赤（あか）めて