L×R

.044『ゼフィランサス』: Terza rima

性格（せいかく）とはどうにも　直（なお）せないもので

清濁（せいだく）懐（いだ）くこともできず　濁（にご）り続（つづ）け

脆弱（ぜいじゃく）さに泣（な）き噦（じゃく）り　覆（おお）う両（りょう）の手（て）

折角（せっかく）の計画（けいかく）も　何（なに）かにつけ

欠陥（けっかん）を見出（みい）だしてゴミ箱（ばこ）送（おく）り

性急（せっかち）で　頭（あたま）でっかちのこじつけ

生殺（せいさつ）与奪（よだつ）を奏（かな）づ　夏（なつ）の偏（かた）降（ぶ）り

星彩（せいさい）を欠（か）いた夜半（よわ）　浸（つ）かる水（みず）が

清籟（せいらい）さえ遮（さえぎ）り　戯（じゃ）れ付（つ）いた涅（くり）

願（ねが）いも心情（しんじょう）も　未（ま）だ募（つの）るだろうが

では見（み）せよ　知（し）らしめよ　西風（にしかぜ）求（もと）め

狙（ねら）う彼（か）の輝（かがや）きへ　共（とも）に足掻（あが）こうか

青（せい）欠（か）く空（そら）も海（うみ）も　呷（あお）れば東雲（しののめ）

贅沢（ぜいたく）甚（いた）く心根（こころね）に付（つ）き添（そ）い崩（くず）れ

静寂（せいじゃく）が悼（いた）み噦（しゃく）り　濡（そぼ）つ両（りょう）の目（め）

裂帛（れっぱく）の声楽（せいがく）も　鳴（な）り止（や）み　暮（く）れ

欠陥（けっかん）の利（き）いた詩（し）で　鳥籠（とりかご）も倦（う）み

劣化（れっか）してはまた裂罅（れっか）に臨（のぞ）み狂（ふ）れ

迷惑（めいわく）と悪（あく）を囃（はや）す　八雲（やくも）偏（かたず）み

溟海（めいかい）の波跡（なみあと）が　降（ふ）らす水（みず）が

命題（めいだい）さえ遮（さえぎ）り　摩滅（まめつ）した文（ふみ）

目界（めかい）も信条（しんじょう）も　また​​曇（くも）るだろうが

世外（せがい）へと　理外（りがい）へと　西風（にしかぜ）と飛（と）べ

目指（めざ）す彼（か）の輝（かがや）きへ　共（とも）に渡（わた）ろうか

狭（せま）い世界（せかい）など疾（と）く捨（す）て去（さ）り綻（ほころ）べ

笑（え）まい　微（かす）かでも僅（わず）かでもいいと上（うわ）擦（ず）り

背中（せなか）を押（お）す風（かぜ）と　東（ひがし）の空（そら）へ飛（と）べ

醒覚（せいかく）を待（ま）つも高（たか）く泣（な）く空（そら）冠（かぶ）り

正解（せいかい）を欠（か）いた永遠（とわ）　伝（つた）う水（みず）が

成敗（せいはい）さえ遮（さえぎ）り　撫（な）ぜる白百合（しらゆり）

手足（てあし）も心臓（しんぞう）も　まだ動（うご）くだろうが

是（ぜ）が非（ひ）でも　緋（ひ）が紫（し）でも　西風（にしかぜ）を喚（よ）べ

照（て）らす彼（か）の輝（かがや）きへ　共（とも）に笑（わら）おうか

凄愴（せいそう）な様（さま）の痛（いた）みを抱（だ）き戦（そよ）げ

晴朗（せいろう）な朝（あさ）の光（ひかり）と　咲（さ）き誇（ほこ）れ