1191 人の痛みが解らない人には……

 眞子を桜井さんから助けようとした鮫島さん。

だが、説教をしてる途中で桜井さんが逆ギレしてしまい。

警棒で頭を叩き、その後、滅多打ちに!!


それを見た眞子は、完全に怒り心頭して……


***


「いい加減にしなよ!!」

「あぁ?……オマエ、今、なんつっ……ギャブシ!!」

「いい加減にしろよって言ったの。聞こえなかった?」

「んだとコラ、ぶしゅ!!」


……当たる。


まだ少々気持ちがビビッているのかして、腰が入ってなくても。

思ってた以上に、私のパンチは、素で相手の顔面を捉える事は出来るみたいだ。


そりゃあまぁ、流石に、昔みたいなパンチ力はないけど。

でも、これだけパンチ力が残ってるなら、本当にもう恐れる必要なんてない。


こんな奴!!もぉ全然怖くない!!



「アンタはねぇ。やっちゃイケナイ一線を越えた。だから、もぉ許さない!!」

「ざけんなよ!!糞アマァ!!」


怒りに任せて警棒が振り下ろされた瞬間、私は狙いを済ましたかの様に、一旦、クルッと回り相手に背後を見せ。

そのまま、その反転力を下方に向け。

上体を低く持って行き、この男の側頭部に廻し蹴りを入れた。



「ギャハァ~~~!!」


……馬鹿な奴。


この場所自体が暗闇に近い状態だから、手元で警棒を振ってりゃあ、コチラも中々手を出し難い状況だったものを。


そんな場面で、警棒を思いっ切り縦に振り下ろすなんて……愚の骨頂だよ。


これは私が女だからと言って甘く見てる証拠なのだろう。


完全に私に実力を見誤ってる。


そりゃあ確かに、女性だから力は無いから、見誤っても仕方がない事だけど。

女性の体は、男性よりも柔軟性が高いと言う利点がある。

だからその柔軟性を生かし、こうやって勢い良く体に反動を付けて鞭の様にしならせれば、蹴りにも、それなりの威力が加わる。


女には、女の闘い方が有るってもんだよ。



はぁ……でも、本当に怖かったぁ。


だから此処からは下手に手を出さず、無言で威圧しよ。



「・・・・・・」

「ちょ、ちょっとタンマ!!おっ、俺、なんか、鼻血が大量に出てるって!!ヤバイって!!これ、マジヤバイって!!下手したら死ぬって!!死ぬって!!」


コイツ……人が黙って聞いてりゃあ、この期に及んで尚、自分の保身を優先なの?


それに、なにが鼻血よ!!

鮫島さんは、警棒でアンタに頭を叩かれて、頭から血を出してるんだよ!!

その痛みの違いすらも解らないなんて、どこまで馬鹿なんだろう!!


私は、もう手を出すつもりはなかったけど。

そのあまりな態度に、自然と手が、彼の頬を叩いていた。


『バシッ!!』



「痛い!!なんで叩くんだよ?叩かないでくれよ。マジ痛ぇんだって」

「アンタさぁ。アンタが、それぐらいで痛いって言うんだったら、頭を割られた鮫島さんが、どれだけ痛いか解る?」

「んなもん、わかんねぇよ!!頭から血なんか出した事ねぇんだからさぁ!!解る訳ないっしょ!!ってか、解れって方が無理ってもんっしょ!!」


『バシッ!!』



「じゃあ、その痛みと同じぐらいに成る位まで叩き続けてあげる。泣いても、叫んでもヤメないからね」

「だから、痛いって言ってるだろ!!ヤメテくれよ!!マジで痛いんだって!!」


『バシッ!!』



「甘えるな。それと、言葉には気を付けなよ」

「ちょ!!この女、わっけわかんねぇし!!なに怒ってる訳?なんで俺を叩く訳?」

「それも解らないんだ。じゃあ序に、その意味も解るまで叩いてあげるよ」

「だから、もぉヤメテくれよぉ!!ちゃんと、ヤメテくれって言ってんじゃんかよぉ」


『バシッ!!』


この馬鹿!!少しは、人の痛みを噛み締めて反省しなさい!!


『バシッ!!』


『バシッ!!』


『バシッ!!』


……

***


 ……一体どれ程、この男の顔を平手で叩いたのだろうか?

非常に手が痛い状態になった、その頃、男は真っ青に晴れ上がった顔で、こう呟いた。



「ずびばぜんでじだ……ぼぉ、びどぃごどば、じばぜんがだ。ゆるじでぐだざい」


どうやら、漸く、自分の何が悪かったかが理解出来たようです。


本当に世話の掛かる人だね。


あぁ……そぉそぉ。

不意打ちで頭部を叩かれた鮫島さんなんだけど。

私が、このお馬鹿ちゃんを叩き始めて直ぐに自力で立ち上がられて、頭の怪我などは自分で応急処置をされてたよ。


それで大丈夫だと判断した鮫島さんは、今、私の横で、事の顛末を見ている感じです。



「オイ、桜井」

「ずびばぜん!!ずびばぜん!!ぼぉ、じばぜんがだ!!がんべんじでぐだざい!!ゆるじで!!ゆるじで!!」

「……ったく、この馬鹿だけは。取り合えず、国見さんに連絡して置いたから、さっさと入り口まで行くぞ」

「はい、ずびばぜん」


謝罪しか言えなくなっちゃったね。


ちょっと、やり過ぎちゃったかなぁ?


でもなぁ。

嫌がる女の子を脅したり、平気で手を上げ様としたり。

イキナリ警棒で人を殴ったりしたんだから、これはもぉしょうがない。


明らかに自業自得だし。


けどね。

こうやって、この人を見てるとね。

此処までしないと解らない人が、世の中に蔓延してると思うとゾッとする。


それに、これだけの暴力を振るって置いてなんなんだけど。

此処まで人を変えてしまう暴力って、本当に怖いものなんだなぁって、実感させられた気分。


だから今の私は、矢張り暴力が怖い。


今後『振いたくもない』し『振るわれたくもない』

……と、心からそう思えた。



「さて、じゃあ、鞍馬ちゃん。迷惑掛けて悪かったけど。取り敢えず、出入り口まで一緒に行って貰えるか」

「あぁ、はい、すみません。コチラこそ、ご迷惑をお掛けして」

「いや、これは、コチラの不手際だ。鞍馬ちゃんが気にする事は無いぞ」

「本当に、すみません。そう言って戴けると、本当に有り難いです。本当に、すみませんでした」


そう言いながら。

私と、鮫島さん、それに反省した国見さんの甥っ子さんは出入り口まで到着した。


すると、そこには……



「オイオイ、なんだ、その状況は?どうしたんだよ?なにがあったんだ?」


……崇秀さん?


崇秀さんだぁ!!

もぉ、今までなにしてたのよ!!


私……今の今まで凄いピンチだったんだよ!!


……でも、崇秀さんの顔を見たら、心が完全に安心し来ちゃったのかして、気付いたら抱き付いちゃってた。

それで、なにも言えなくなっちゃった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


流石に本気に成った眞子と桜井さんじゃ地力が違いすぎるのかして、瞬殺されてしまいましたね。

そして更に「今までの悪事の限りを解らせる為」に、説教+ビンタの応酬。


まぁこれは本編でも言いましたが『此処までやらないと解らない人』っと言うのは世の中には結構いますので、これはこれで正解だったとは思いますです。


さてさて、そんな中。

桜井さんとの攻防は、眞子自身の手で、なんとか収める事が出来たのですが。

それにしても崇秀は、眞子がピンチの時に、なにをしていたんでしょうね?


普段なら、眞子のピンチには駆け付ける筈なのに……


そんな疑問を、次回は回収していこうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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