第19話 ゲームの登場人物ですの!

「じゃ、早速だがお前の知ってる未来の情報を教えてくれ」

「嫌ですわ!!」


「……は、なんでだよ」

「私、ネタバレは嫌いですの!!」


「色々突っ込みたいけど、喋り方はそれでいいの?」

「私、この口調結構気に入ってるんですわ! 淑女っぽいし!」

「あ、そう」


「まあ、ネタバレ? はよくわかんないが、運命を変えたくないんだろ? 流石の俺も未来予知はできないからある程度は事前に教えてくれよ」

「しょーがねーですわね~。じゃあ重要人物だけ教えますわ!」


 というわけで特別に主要人物についてだけカイチューに教えることにした。



 『エーデルワイズのお姫様』は恋愛シュミレーションゲーム、いわゆる乙女ゲームに属する。


 前世の情報によると、確か6作か7作目まで出てる人気のゲームだけど、この世界はエーデルワイズのお姫様の無印の設定に準拠している。


 主要人物は6人。主人公と攻略対象の5人。


*****

 ロッテ・エリーゼ 16歳(本編での年齢)『エーデルワイズのお姫様』の主人公


 遭遇危険度 ☆


 透き通るような白く長い髪が特徴。

 特異な固有魔術の才能を買われ、平民でありながら特待生として王立魔術学園の入学を許可される。


 そこで出会う5人の男子と、恋仲に落ちていく―――

という風に物語が進んでいく。


 好奇心旺盛で活発。

 食に対して異常な興味を持っており、毒でも虫でも雑草でもなんでも口に入れるタイプ。そのくせすぐお腹を壊してよく怒られている。


 入学前は祖母と郊外で二人暮らしをしているため、私と出会うことはまずないだろう。


*****

 セイブン・カードランディ 16歳 攻略対象の一人


 遭遇危険度 ☆☆☆


 パッケージの表紙を飾る『エーデルワイズのお姫様』の看板キャラ。金髪碧眼という王道な見た目をしていて、キャラ人気が高い。


 カードランディ王国第三王子。第一王子と第二王子がバチバチに政権争いをしている一方で、ロクな後ろ盾がないため早々に王位継承レースから外れる。

 そのため、底抜けに明るいがどこかつかみどころのない性格をしている。


 あと、バッドエンドルートで闇落ちしたときの豹変具合があまたの女子のギャップを刺激したためか、二次創作は光×闇ものが多い。


 王族ゆえに舞踏会等で出会う可能性があるため、要注意。


*****

 ランスロット・レイ 17歳 攻略対象2人目


 遭遇危険度 ☆☆


 英雄の息子。非常に体格のいい赤髪。

 面倒見のいい性格。頼めばしょうがないなと言って何でもやってくれる。

 無類の甘い物好きというところが小動物みたいでかわいい。


 代々続く騎士の家系。主人公より年上の先輩だが、セイブンの学内護衛も任されているため同じ授業を受けている。


 通常、騎士団に所属する者は7歳時から訓練を行うため、普通の貴族との接点はあまりない。

 積極的に会いに行かない限り出会うことはないが、一応注意。


*****

 ルー・レッドホーク 16歳


 遭遇危険度 ☆☆☆☆☆


 芸術色の強い家柄の子息。かっこいいというより美しい感じの顔立ち。

 所作も言葉遣いも非常に優雅だけど、かなりプレッシャーに弱い。

 体も弱いので、ヴァイオリンなどの演奏会のあとは必ず寝込んでいる。

 主人公の第一印象が「おいしくなさそう」なため、主人公には食材と認識されている。


 レッドホーク家は非常に顔が広く、お父様の会話でも何度か出てきている。

 クレディット家と強いつながりがあるらしい。

 ゲームではアリン・クレディットと交流のあった描写はないが、出会う可能性が高い最も危険な人物。


*****

 ジャック・B・ブラック 15歳


 遭遇危険度 ☆


 魔術の天才。私の最推し。一回り小さい身長で常にぶかぶかの白衣を身にまとっている。

 人を寄せ付けない冷たい性格。主人公には能力を研究したいがために近づく。

 人のことを考えないためコミュニケーション能力が壊滅的。思ったことをすぐ口に出すので嫌われがち。本人は特に気にしてない。

 

 会って愛を伝えたいレベルだけど、研究家ゆえに引きこもりだから会うことはないと思う。


*****

 バックラット 年齢不明 攻略対象5人目


 遭遇危険度 なし


 城下町のスラムを仕切るザ・アングラ男子。

 5人の攻略対象の内、唯一学園に通っていない。

 このキャラに会ってからゲームではミニゲームが解禁されるため、ファンの間ではミニゲーム大臣と呼ばれている。

 RTA では序盤にミニゲームのアイテム稼ぎが必須のため。如何にしてこのキャラと出会うかが重要となっている。


 活動拠点が城下町のスラムという、高貴なる貴族のこの私から最もかけ離れた場所にいるため、遭遇するかは考えなくていい。


*****


「……ということですの!!!!!!」

「へえー……」


 ここまで一息で喋ったため、私は荒い呼吸を整える


 久々にこれだけデルプリのことを話しましたわ! 好きなものを語るのってやっぱ楽しいですわね!


 ドヤ顔でカイチューの方を見ると、光はゆらゆらと揺らめいている。


「いやぁー…………」








「ごめん、ぜんぜんわかんなかったw」










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