地獄の歩き方

 善い人じゃないから善い人になるのです。

 この醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い身体の奥底を隠すために、善いメッキで塗装してわたくしは善い人になるのです。生まれながらにして持った醜さを見破られることが恐ろしい。心底善い人から発される全てはこのメッキを剥がして、本当のわたくしの醜い姿をあらわにする残酷さを隠し持っています。

 醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い人間は美しい服や美しい靴を持ってしても美しくはなれず、より醜さを強調し、人の目に映る己の醜さに直面し、ああ、なんでこんなに、醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い、小指の爪の形さえ善い人には勝てない。

 純金でできた人間と金メッキで塗られた人間に違いがあるとするならば、黄金の精神をその中核に据えているかの違いでしょう。だからあらわにしないで。化けの皮が剥がれる。即身仏にさえなれなかったのだ、わたくしは。これからもきっと、極楽には行けない。

 地獄を歩く予定です。

 地獄の歩き方というガイドブックを買って、歩くつもりです。ご一緒しますか。

 硫黄の匂いで鼻が潰れても気にしなくていい。どうせここには醜い者しかいないのだから、お釈迦様を想って黄金のふりをする必要もないのですから。

 地獄を歩きましょう。

 そうして垂らされた蜘蛛の糸の先に火をつけてやる。

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