入院 六日目

「・・・あ・・・んん」


 おはよう、よく眠れたね。


「おはよう、ございます」


 今はもうお昼過ぎだよ。お腹、空いたかい?


「ああ・・・まぁ・・・えっと、手術は、どうでした?」


 もう、ばっちりだよ。後は回復を待つだけなんだが、本当に楽しみだよ。


「・・・今度は右手の感覚がないのですが・・・・・・」


 まだ麻酔が残っているんだね。起床したばかりだし交感神経が鈍っているのもあるんじゃないかな。なぁに、そんなのは直ぐに回復するよ。

 ほら、食事は喉を通るかい?必要な栄養は点滴で接種はしているが、胃腸から吸収される栄養の循環は他の内臓への活性化になるから、口からの食事は大切だからね。


「あの、ここの方は『あなた』お一人なのですか?」


 ・・・いや、看護師や他に医師も多く居るよ。


「なにか・・・静かで他の人の気配みたいなのが全然なくて」


 ・・・今もこうやって君に食事を口へ運んでいるのは看護師の方だよ。細菌の無駄な感染をさせないために、無駄な会話を禁じているんだ。ほら、君、彼女の肩を叩いてみてやってくれ。


 ・・・ポン・・・ポン


「・・・他の患者さんは??」


 ここは一人部屋だよ。君をこんな事故に巻き込んだ『加害者』の方は全ての自身の過失を認めていて、全面的に君の回復に協力してくれているんだ。だから君は今後の心配もなく治療に専念していいんだよ。


「・・・目は、目の包帯はいつ取れますか?」


 どうだろうねぇ、どう?痛みや何か異常はありますか?


「いえ、全然、大丈夫です。目を瞑ったまま眼球を動かしても違和感も無いです」


 そうかそうか。明日にでもCTやMRIをまた撮って診察してみましょう。その結果次第だね。


「・・・分かりました」

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