第23話 沈黙の警告

水松つぼみの朝は、予期せぬ驚きと共に始まった。彼女が朝食の準備をしている最中、郵便受けに何かが投函される音がした。彼女が確認に行くと、ポストの中には一枚の手紙が入っていた。手紙は、厚い白い封筒に入れられており、差出人の名前も住所も記されていなかった。


手紙を開けると、中からは単純なメッセージが書かれた紙が現れた。「俺たちに関わるな!」という言葉が、大きくかつはっきりと印字されていた。そのメッセージは明確な警告であり、つぼみはその背後に潜む意図を探ろうと考えを巡らせた。


つぼみは直ちに地元の警察署に連絡を取り、この事態を報告した。警察からの情報によると、彼女の家だけでなく、町の多くの住人たちのポストにも同じ手紙が一斉に配られていたことが判明した。この一斉配布は計画的なものであり、何者かが町全体を恐怖に陥れようとしていることが明らかであった。


つぼみと警察は、この手紙がギロチン仮面によるものなのか、それとも全く別の新たな脅威によるものなのかを解明するために、即座に捜査を開始した。手紙の分析、配布された地域の監視カメラの映像調査、そして地元住民からの証言収集が行われた。


その調査の中で、ある重要な証言が得られた。町の外れに住む老夫婦が、手紙が配られる数時間前に、黒ずくめの人物が町を走り抜けていくのを目撃していたというのだ。彼らの証言によると、その人物は非常に急いでおり、何かを急いで配っている様子だった。


この情報を手がかりに、つぼみと警察はその地域の捜査を強化した。やがて、彼らは町の外れにある古い倉庫で、手紙の印刷に使われたと思われるプリンターと大量の未使用の封筒を発見した。倉庫の中からは、これまでの捜査とは異なる新たな証拠も見つかり、事件の背後には複数の人物が関与している可能性が高まった。


つぼみはこの事件が単なる脅威で終わらないことを悟り、町の住人たちと協力してこの不安を解消する方法を模索した。彼女は地元のコミュニティセンターで住人たちを集め、事件についての情報共有と、安全対策の徹底を呼びかけるミーティングを開催した。このミーティングを通じて、つぼみは町の住人たちとの絆をさらに深め、彼らからの信頼を一層確固たるものとした。


事件は、つぼみにとって新たな試練であったが、彼女はこの困難を乗り越えるための強さと勇気を持っていた。真実を追求する彼女の姿勢は変わらず、八甲田山の事件を解決するための闘いは続いていた。

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