第17話 対峙の時

水松つぼみは脅迫状を手に握りしめ、窓の外を見つめていた。静かな夜の中、彼女の心は決意で固まっていた。自然保護のための抗議活動が予想以上の反響を呼び、地元コミュニティからの支持が増える一方で、反対勢力からの圧力も急速に高まっていた。この脅威は、彼女が正しい方向に進んでいる証でもあった。


翌朝、つぼみは父、水松康夫とともに計画を練った。彼らは地元警察と連携を強化し、つぼみの安全を確保するとともに、脅威の源を突き止める作戦を開始した。康夫は彼の影響力を使い、警察の捜査範囲を拡大し、企業や政治家の更なる調査を進める許可を得た。


その日の午後、つぼみは意を決して、問題の政治家である浅野議員の事務所を訪れた。彼女は浅野議員と直接対話を求め、八甲田山での不正行為と彼の関与について問い詰めた。議員は初めはこれを否定したが、つぼみが持ってきた証拠を前に徐々に言葉少なくなった。


浅野議員はついに、自分の関与を認めるに至った。彼は自らの行動が最初は地元経済のためだったと主張し、後に事態が手に負えなくなったこと、そして企業からの圧力に抗しきれなかったことを明かした。しかし、彼は自身の保身を最優先に考え、真実を全て語ることはなかった。


この対話から得た情報を基に、つぼみはさらにその背後にある大きな組織の存在を疑い始めた。彼女は浅野議員の証言を録音しており、これを警察に提供することで、捜査が新たな段階に入ることとなった。


一方、市民からの支持は日増しに大きくなり、つぼみが主導する自然保護の活動は地域全体に広がりを見せていた。彼女の勇気ある行動が、多くの人々に影響を与え、変化を求める声がますます大きなものとなっていった。


つぼみはこの一連の出来事を通じて、真実を追求する道が容易ではないことを痛感しつつも、八甲田山と地元コミュニティを守るためにはどんな困難も乗り越えなければならないと再確認した。彼女は次の一手を慎重に計画しつつ、新たな挑戦に向けて準備を進めていった。

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