第5話 クリスマスローズ
我が家では毎年、2月末になってようやく花が付き始めるこの花たち。12月には咲かないこの花を、何故にクリスマスローズというのか…庭に植え始めた頃から確かめたことのない大きな疑問でした。
なになに…資料によると原種である白バラに似た一重咲きのニゲルという品種がクリスマスの頃に咲くということに因むらしい…でも我が家にはその頃咲くものは一つも無いんだよね。ニゲルなるものがないのか…今度購入してみようかな。なんだか不思議なメルヘンチックな物語…
現実に目を向けると、この花はかなり高い苗として販売されています。園芸店に行くと株が高価で高嶺の花感がある。充実した良い苗になったりすると何千円もしたりするので、出した手を引っ込めていつも羨ましそうな顔で帰ってくる。
清水の舞台から飛び降りる覚悟がないと何千円の苗は買えない。確かに見事な八重咲きや色も深いチョコレート色、縁取りがエンジの紫系、緑がかった白、ピンクと眺めれば多彩で惚れ惚れする花が目白押し。気をつけていないと安易に極めようなんて思ったら魂を取られてしまうかも知れない。底しれぬ魅力という、節約家の私にはまやかしに近い、美しさを纏っている。
我が家の庭では平和にも、こぼれ種というラッキーな方法で知らず知らず増えて、庭のあちこちに、鉢に、無造作に咲いている。すべて一重咲き、多年草。色は白と紫がかったローズとピンク。これはという色を揃えたくなったら気持ちを止められなくなる危険な誘惑を持つ花なのかも知れない。
いよいよ花首が伸びてきて花も盛りを過ぎようとしている。春は何もかもが忙しい。このクリスマスローズもまだまだ咲いているけれど、そろそろ開花の後始末の時期が来ている。花を取って古い葉を落とし、肥料を上げて来年に備える。
春の終わりとは、そういう季節なんですね。華やかに咲き誇った後の、来年に備える底上げの季節。
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