めぐりめく時間(とき)

べあべあ に勧めと、この時代へ跳ばされてからのここ数日間、シュリナ は朝露と草などを食べては飲みで我慢しながら過ごして来ていた、そして戦っていた時代も含めて真面な食事などからは、ほぼ無縁な日々を過ごして来ていた。もちろん理由はそれだけでは無い、すっかりと忘れていた、温かい家庭の中で、べあべあ と言う戦争とは無縁な人が調理し、シュリナの為にも用意してくれたその料理がなんとも愛おしく、戦士となる前の自分、花屋の一人娘であった頃の自分が漸く取り戻せる時が来た。そんな感じがしたから、シュリナ は べあべあ と一緒にひとつの卓で食事を摂った。


べあべあ が用意してくれたメニューはドングリを使った煮豆のスープであった。


「遠慮なんていらんで、まぁ、味の方は保証せんけどな。」


とにこやかに べあべあ はその料理を皿に盛り付け、シュリナに手渡した。


「あ、ありがとうございます。」


とシュリナは、隠しきれない緊張を顔と言葉に出しながら、その温かな料理を べあべあ から受け取った。


この日常と言う当たり前の時間を取り戻すのに幾程の時を過ごして来たのだろう?。


シュリナは べあべあ が自分の分の料理を楽しそうに盛り付けている姿を目にしながら、ふと、そんな事を思っていた。

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