パキラのひみつ 銀世界そして……

パキラは必死に窓の外を見ようとした

たが、幼女期故にその背丈は小さく、手には届く窓でも外を見るのは中々大変だった。


ぴょんぴょんと飛び跳ねてみたり

窓枠に手を掛けてその身の丈を合わせ様としても、それは無駄な努力に終わって行った。


遂に万策が尽き

ベアをギュッと抱きしめながら床にペタっと座り込みながら


「どうしよう……」


と半ば諦め掛けたその時、パキラの目の中に先ほど迄の座っていた、座椅子。その存在が飛び込んで来た。


「そっか!」


と、即座に閃きを得たパキラは、ベアを抱いたまま、パッと飛び上がる様に立ち、そして、いそいそとその椅子の傍まで、部屋の中を小走りに横切って行くと次には、まず、パキラが大好きなテディベアのベアちゃんを空いている別の椅子へと、まるで、ベアちゃんを命有る者の様な愛らしい姿にして座らせると、パキラはその一瞬、椅子に座るベアちゃんの可愛さに目を奪われ


「うわぁ❤︎」


窓の外を見るんだと言う思いはどこへやら

ですっかりとベアちゃんに心奪われて見惚れてしまっていた。


が、すぐに


『!!、そうだ、窓から外の様子を私は見たかったんだ!!』


と、我を取り戻し

すぐに、椅子を


「よっこいしよ!」


持ち上げ窓の側へと運ぼうとしたが、

硬い木で出来ている上に、大人でも重さを感じるその椅子を、たかだか5歳児のしかも女の子がそう軽々とは持ち運べる筈も無く、パキラはまるで椅子に弄ばれて居るかの様に、ヨタヨタと覚束無い足取りで、尚且つパキラの力では持ち上げる事は困難と気付いたのか、部屋の中をズルズルと引き釣りって窓の側まで歩いて行った。


つづく





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る