月と星と光の中で
双子のフェアリー達があたふたとしているのを余所に りりる はまるでダンスのステップを踏む様に
ひとつ
トン♪
ふたつ
トントン♪♪
みっつ
トントントン♪♪♪
と、ステップをしながら円を描いた
そして
その足を止め
目を閉じながら静かに
「ふぅ」
と、ひとつ息を吸うと
そこは りりる の体、全体が白い色を放ち
輝き始めた
それに気付いた双子のフェアリー達が目を見張り
「あっ!」
「りりる様!」
と声を上げた束の間
白く輝く りりる の背中から
鳥の翼に良く似た
白く大きな羽がすっうっと
姿を表した
りりる は フェアリー達を
笑みを称えながら見やると
「さぁ、肩にお乗りなさい。一緒に月夜を楽しみましょう」
と、フェアリー達を招き入れ
双子のフェアリー達は多少、りりる の仕出かした事に不満が有るのか
剥れ顔をしながら
「はい」
と、素直に りりる の言葉に従い
りりる の双子のフェアリー達は りりる の両肩にゆっくりと腰を下ろし そして 座った。
それを見るや りりる は
「よぉし、それ!」
背中にある大きな翼をまず一度、バサッと様子を見る為に小さく羽ばたくと
翼の調子は良く問題は無いと確信し
「よし!」
と気合を入れると
「ユウちゃん、マイちゃん、振り落とされないでね!」
双子のフェアリー達に もう飛ぶよ の意味を伝え
ユウとマイ達が
「きゃあぁぁぁぁ~~~っ!!」
「わ、解りましたぁぁぁぁ~~~!!」
と半ば悲鳴に近い編集を返して来るや否や
りりる は次には翼を大きく羽ばたかせながら月が煌々と輝く夜空へと舞い上がって行った。
月の光りを浴びた りりる の姿は
まさに天使の姿その物であった。
りりる はその眼下に広がる
街を見下ろした
「素敵」
りりる は目を輝かせながらそう叫んだ。
りりるの目にした物、それは、まるで星の様に夜の闇の点る街の灯りがその光景であった。
りりるの肩に乗る妖精達もその夜景の広がりに息を飲みながら目を奪われ思わず見取れていた。
と、その時
「よし、このまま、お月様まで!」
りりるが
と乗りに乗った声を上げた
今の りりる の様に背中に羽を持つユウとマイ達だが流石に、夜の夜景がまるで星明かりの様に見える、この様な高さまでは飛べず。今現在の りりる の飛翔している高さでも、実は二人は十分に恐怖を感じていた。
そこへ持って来ての りりる の思わぬ言葉に
「ええっ!?」
「お月様って?りりる様!!」
そう無駄なんだろうな……は理屈として解ってはいた。
が、それが現実となると事情は変わり、妖精たちは普段は可愛らしい顔を今は凍りつく様な恐怖に引き攣らせながら
「ぎゃ~~!」
「いやぁぁ~~!」
そして夜空いっぱいに響くような悲鳴を上げていた。
りりる はそんな妖精たちの事は露とも気に止めた様子を見せなかった。
ここで慌てては妖精たちはおろか自身の身すら危うくなるからだ。
そして、りりる は背中の翼を精一杯に羽ばたかせながら、高く、高く、月の浮かぶ星空へ向かって飛翔をし、りりる のその姿は月の明かりの中へと溶け込む様に消えて行った。
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