紫陽花の君に
長谷川 千秋
第0話 はじまりはいつも
気づいたら好きになっていた、なんて嘘だと思っていた。
いつから?という問いに対する答えは明確かつ唯一しかあり得ない。
即ち、ほんの少しの照れ隠しと曖昧なままはぐらかす為の模範回答。
質問した者を満足させ、尚且つこれ以上踏み込ませないための。
恋の仕方も忘れかけていた頃にまた、人を好きになることを知った。
叶わないものはどうしていつも美しく見えるのか。
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