心地良いストレスとは?

進藤 進

第1話 怒り

「どうして、そんなに興奮しているのですか?」

生命保険の営業の方が電話口で呟きました。


今から三十年以上も前の話です。


日曜日の昼下がり。

連日の残業や休日出勤から、ようやく解放されたひと時に。


生命保険の追加勧誘を。

自宅に電話された時です。


貴重なプライベートの時間を壊した意識はないようで。

彼は却って、ムッとした口調で聞きかえしたのです。


彼には理解できないことでした。

24時間、緊張した日々を過ごして。


やっと、安らぎを手にした時間に。

土足で踏み込まれたストレスを。


そう。

そう、なんです。


今から思えば。

何をそんなに怒っていたのでしょうか?


当事者しか分からないのです。


それが。

どんなに。


心を圧迫することなのかを。

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