第43話 植物の異変

巨大ナメクジたちとの共生が進む中、新たな生態学的課題が都市を襲った。保護区内で、ナメクジの酸に長期間晒されていた植物が突然変異を起こし、その結果として、未知の特性を持つ植物が出現した。


カイと科学チームは、これらの植物がどのような変化を遂げたのかを解明するため、緊急調査を開始した。初期の調査では、変異植物が異常な速度で成長し、光合成の効率が通常の植物よりも格段に高いことが判明した。しかし、それと同時に、これらの植物から放出される花粉が周辺の植物に影響を与え、それらをも変異させる潜在的なリスクがあることがわかった。


「これは予想していなかった発展です。これらの植物がどのようにしてこのような特性を獲得したのか、そしてこれが我々の生態系にどのような影響をもたらすかを理解する必要があります。」カイは科学チームと共に、変異植物の研究をさらに深めることを決定した。


陽妃は、この新たな発見を市民に説明するために、教育セミナーと情報セッションを組織した。彼女は専門家を招いて、変異植物の特性と、それが生態系に及ぼす可能性のある影響について話し合うパネルディスカッションを開催し、市民の理解と協力を求めた。


「私たちは自然との調和を図るために、未知の現象にも柔軟に対応していく必要があります。この新たな課題も、私たちが共生を深めるための一環として捉え、賢明に対処していきましょう。」


科学チームは、変異植物が放出する花粉の詳細な分析を行い、その遺伝的構造を解読しようと試みた。また、これらの植物が持つ独特の特性を生態系に有益に活用する方法を模索し始めた。


この一連の取り組みを通じて、都市は未知の自然現象に対する新たな対応策を開発し、ナメクジとの共生環境をより堅固なものにしていくための道を歩んでいた。都市と自然との共生は常に予想外の挑戦をもたらすが、カイと陽妃はその都度、市民と協力してこれらの課題に立ち向かっていた。





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