第24話 酸の竜巻

街は再び恐怖の渦中に飲み込まれた。三体の巨大ナメクジが同時に異常行動を起こし、彼らが発する酸性の液体を含んだ竜巻が突如として発生した。この自然現象は科学的に前例のないもので、カイとそのチームはこの新たな脅威にどう対応すべきか、緊急の対策を練ることに追われた。


竜巻は甚大な破壊をもたらし、その経路上にあるすべての建物、車両、さらには樹木までもが酸によって溶かされて無くなっていった。市民たちは未曾有の危機に直面し、避難所に急いだが、その途中でも危険は常に付きまとった。


カイは防衛軍を率いて、竜巻の進行を食い止めるために中和剤を大量に投入する作戦を指揮した。彼らは特製の散布機を使用して、酸の拡散を抑えるため空から中和剤を撒き散らした。この迅速な対応が幸いし、竜巻の破壊力は次第に弱まり始めた。


一方、科学チームはナメクジがなぜこのような現象を引き起こしたのか、その原因を解明するために研究を続けた。初期の分析では、ナメクジの酸が特定の気象条件と反応して竜巻を形成した可能性が高いと示された。


「ナメクジの酸が持つ化学的性質が、特異な気象パターンと相互作用して、このような竜巻を引き起こすのかもしれません。私たちの理解を超えた自然の力が働いている可能性があります。」科学チームのリーダーがカイに報告した。


カイはこの情報を基に、さらに効果的な対策を講じるため、市と協力して新たな防災計画を策定した。彼はまた、市民への教育と情報提供を強化し、ナメクジとの共生を目指す中での安全対策を徹底することを決定した。


陽妃はこの緊急事態を受けて、避難所での支援活動を強化し、特に子供や高齢者のケアに重点を置いた。彼女の努力により、多くの市民が心理的な安定を取り戻し、困難な状況の中でも希望を持ち続けることができた。


この一連の出来事は、カイと市民にとって新たな試練であり、ナメクジとの共生を再考するきっかけとなった。自然現象としてのナメクジの力を理解し、それに適切に対応する方法を見つけることが、これからの大きな課題となる。

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