第22話 地下の連鎖反応
地下の探索が進む中、カイとそのチームは鉱山跡地の深部で不安定な地質層に達し、そこから発する振動がナメクジの異常行動の引き金であることを確信した。この発見は彼らに新たな課題を突きつけた。地下の振動をどう制御し、ナメクジたちを安定させるかが問題となった。
カイは地質学者と協議の上、振動を抑制するために特殊な材料を使用した地下壁の建設を提案した。この壁は振動を吸収し、地上への影響を最小限に抑えることが目的だった。プロジェクトは迅速に進められ、市全体からのサポートも得られた。
一方、市民の間ではナメクジの存在がもたらす恩恵についての意識が高まっていた。陽妃が主導する教育プログラムを通じて、ナメクジの酸が持つ自然環境に対するポジティブな効果が広く認知されるようになった。市民たちはナメクジとの共生を受け入れ、その保護に積極的に協力するようになった。
しかし、振動を抑制しようとした掘削作業中に、予期せぬ事態が発生した。地下壁の建設中に小規模ながらも地盤が崩れ、それがさらなる振動を引き起こし、ナメクジたちは激しく反応してしまった。彼らは再び大量の酸を放出し、周辺環境に深刻な影響を与えた。
この危機に対処するため、カイは即座に防衛軍と共に現場へ急行。彼は自ら危険を顧みずに、直接ナメクジたちを鎮静化させる特殊な化合物を使用した。その努力により、ナメクジたちは徐々に落ち着きを取り戻し、事態は一時的に安定した。
「これは私たちにとって重要な教訓です。自然との共生は繊細で、予測不能な要素を含んでいます。我々の介入が逆効果にならないよう、さらに注意深く行動しなければなりません。」カイは、復旧作業中のチームに対してそう語った。
この事件は、ナメクジとの共生がただ単に彼らを受け入れるだけでなく、地球という惑星全体のバランスを考え、それに対応する知恵と技術が必要であることを改めてカイに認識させた。そして、都市全体もこの事実を受け入れ、ナメクジとの共生に向けた新たなステップを踏み出す準備ができていた。
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