第20話 震動の序章

街は、未曾有の混乱に見舞われた。突如として、居座る三体の巨大ナメクジが同時に激しく震え始めた。この振動はまるで地震のように都市全体を揺さぶり、それに伴い、ナメクジたちは大量の酸を放出し始めた。この酸は瞬く間に周囲の建物、車、さらには道路を溶かし始め、その破壊力は計り知れないものだった。


カイと防衛軍は緊急事態に対応するため、迅速に行動を開始した。彼は市の緊急対策本部と連絡を取り、市民の避難指示を出しながら、科学チームと協力してナメクジの異常行動の原因を解明しようとした。


「チーム、ナメクジのこの行動は何か特定の刺激によるものか?それとも自然の周期に関連しているのか? 私たちには時間がありません。すぐに何か手がかりを見つけ出してください。」カイは科学チームに指示を飛ばした。


一方、陽妃は避難する市民たちを支援し、特に子供や高齢者の安全確保に尽力していた。彼女はボランティアチームを率い、避難所での対応を統括しながら、市民たちを落ち着かせ、避難指示に従うよう励ました。


科学チームは、ナメクジの酸放出が一定のリズムを持っていることを突き止め、その原因が地下深くの地質変動によるものではないかとの仮説を立てた。地下の振動がナメクジの神経系に影響を与え、ストレス反応として酸を放出する可能性があると考えられた。


この情報を受けて、カイはさらに掘り下げた対策を指示した。彼は市の地質学者と連携し、地下の振動を減少させるための工学的な解決策を模索することにした。同時に、ナメクジが放出する酸の中和方法を強化し、それによる市民の財産への被害を最小限に抑える計画を立てた。


緊迫した状況の中、カイは陽妃と共に、避難所を訪れることにした。彼らはそこで市民たちに直接話をし、自らが前線で直面している現実と、それに対する取り組みを共有し、市民の理解と協力を求めた。


「私たちは皆、同じ船に乗っています。この危機を乗り越えるためには、お互いに支え合い、協力しなければなりません。私たちが一丸となれば、どんな困難も乗り越えられることを、私は信じています。」


カイの言葉は、避難所にいる人々に深い感銘を与え、市民の間で結束と協力の意志が芽生え始めた。都市はこの未曾有の危機に立ち向かうため、新たな一歩を踏み出す準備が整っていた。

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