第17話 夜明けの決断
ナメクジとの共生プロジェクトが進む中、街の平穏は一時的なものに過ぎなかった。市の北端で新たに大型のナメクジが目撃され、これが再び市民の間に緊張と恐怖を引き起こした。今回のナメクジは以前のものよりも攻撃的であり、その酸は更に強力で、触れた植物や建物を容赦なく溶かしていった。
カイは即座に対応チームを結成し、新たなナメクジの調査に乗り出した。彼らはナメクジがどこから来たのか、なぜ突然現れたのかを突き止めるため、その行動パターンと遺伝的特徴を研究した。研究チームはナメクジの遺伝子サンプルを採取し、そのデータを以前のナメクジと比較分析することで、何らかの結論を得ようとした。
同時に、カイは市民の安全を最優先と考え、ナメクジが活動する地域の周辺住民を安全な地域へ緊急避難させた。彼は防衛軍と連携して避難ルートを設定し、ナメクジの活動を監視するための監視システムを強化した。
この時、カイは再び謎の声を聞いた。「恐れは理解の欠如から生じる。深く掘り下げ、真の原因を探求せよ。」
この言葉に奮起したカイは、研究チームにナメクジの生態系内での役割と、都市への影響をさらに詳しく調べるよう指示した。彼らはナメクジの食物連鎖と生態的ニッチに注目し、ナメクジが都市環境に適応する過程で何が彼らを変化させたのかを探ることに集中した。
陽妃はこの困難な時に、カイが感じるプレッシャーを和らげるために、支援と安らぎの場を提供した。彼女はカイと一緒に市民への情報提供会を開き、ナメクジとの共生に向けた長期的なビジョンを説明し、市民が持つ不安を一つ一つ丁寧に解消した。
数日後、研究チームは重要な発見をした。新たなナメクジのDNAには、特定の環境ストレスに反応して突然変異を起こす可能性を示すマーカーが見つかった。この発見は、ナメクジがどのようにして都市環境に適応し、時には急速に進化するかを理解する手がかりとなった。
カイはこの情報を基に、市民への教育と理解を深めるための新たなプログラムを開発し、ナメクジとの共生を推進する新しい戦略を策定した。彼の決断と行動は、都市がこの新たな自然の力とどう向き合うかを定義することになるだろう。
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