第19話

 どんよりとした空気。針の筵のシュタイン。事前に聞いてはいるもののどうも口に出しにくい空気がそこにはあった。


「始めていただいてもよろしいですか?」


 時間が押してるシ-ザが促す。


「えー……では……陛下の遺伝子パクパク実験ですが」

「待て、もっとマシな名前はなかったのか?」

「陛下、後でいいでしょう。今日の全世界中継は私の担当なので後にしていただけますか?本当に」


 仕事モードのシーザに逆らう危害がない皇帝はあっさり引き下がる。そもそも今回の会議は……。


「端的に言えば失敗です。とりあえず様子見で1cmほど食べさせましたが」


 画面に表示される游撃将軍ジャルドバル。地球の前の戦いで中将に昇進したときのものだ。巨大な熊のような体をしており、ペペンドッタ星の出身でバルサク帝国が宇宙帝国を名乗る前に征服された。

 ニッヒ第46騎士団長は生粋の帝国人でバルサクが帝国になる前に一般兵として戦っていた精悍な男である。

 元24海兵師団長のカッツォは海兵隊創設の折り引き上げられた宇宙艦隊の清掃部門で働いていた男である。元から痩せており経歴ではこの100年バルサク宇宙帝国が新天地を求めてて戦っているときに降伏した宇宙艦の乗組員である。


「こうなりました」


 おそらく游撃将軍ジャルドバルである、餓死させるために飢えされた熊のような男。

 多分ニッヒ第46騎士団長と思われる廃人のようにギラついた男。

 全く確証は持てないが元24海兵師団長のカッツォのような気がする巨漢。


「適応できませんでした、ジャルドバルは1cm。下痢のような症状が出続けておりこうなりました。ニッヒは50mm。腹痛が続きこうなりました。カッツォですが……1mmでこう……何故か太りました」

「余の髪を何だと思ってるんだ……」

「完全栄養食か下剤か区別は尽きません」

「で、対策は?」

「効果が相反してるのでわかりません」


 3人の軍高官が味方の手によって再起不能にされるとまでは思ってなかったためナポレーンもアッサーもシタッパーも何もいえなかった。

 推薦したからには責任は取る必要があるが……事態が事態である。

 無駄に責めても意味はなくシュタインも言い訳をする無駄を省いて進める。


「おそらく陛下の髪の毛に対応できないかと」

「せめて力とか言い換えんか?」

「続けて。陛下、それは後にしてください。シュタイン、軍事以外で呼んだのでしょう?私に何を通達したいのですか?」


 イライラしてるシーザを見て少し持ち直す皇帝。振り分けた仕事の多さはシーザが一番多い、その上で政治的に必要だからと街ブラ企画にも出演しなければならない。

 言い出しっぺの皇帝やシタッパーはシーザには下手に出ることが増えた。


「まず、適応者を探さねばならない。将官クラスがこうなるようでは適合率が低いのかたまたま3連続ハズレかわからん。もう少しどう適応するかを確かめたい。三人の遺伝子変化的に成功者がいないとどう違うのかわからん。空いてる軍人は多いが……」

「元老院の人間の遺伝子サンプルをもってこいと?」

「バルサクの建国初期からいる人間も多い、もしかしたらもしかするかもしれん……」

「国民皆兵ですからね、打ち勝って滅ぼした国の人間よりも生え抜きのバルサク生まれバルサク育ちで試してみたいですか?」

「そうだ……」

「たしかにバルサク帝国やバルサク宇宙帝国出身は多いですけどバルサク時代の人間は元老院が多いですからね、良いでしょう提出を説得してみます」

「ありがとう、シーザ……」

「それで?私のはいりますか?」

「いらんよ、幹部は後回しだ、お前に何かあったらバルサク宇宙帝国と地球側の統治が崩壊してしまう」

「そうしたら祖父を引っ張り出しましょう」

「そういう問題ではない、余はこの年で教育係が側近だと笑われたくはないからな」


 皇帝の冗談で場は和む。たしかに隙あらばダメ出しをされるのでは権威が下がるだろう。臣民の前ではしないとはいえ。


「それにまだ戦争を終わらせないのか!講和はどうした!と言われるのは余だけではないぞ」


 その言葉にシーザすら気まずそうにして咳払いをする。


「まぁ、提出はさせます。その後何がどういう理由でできるのかはお任せします。専門外ですからね。それだけですか?」

「ああ、頼む」

「では、失礼します。中継もありますから」


 そう言って慌ててでていくシーザ。時間がなかったんだろう、同時中継が終わればスペインだけで放送するシーザのパエリア食べ比べ番組を撮影するらしい。


 あの仕事量だと羨ましいともいえないな。まぁ英国料理食べ比べよりは良いんじゃないか?ドイツは治安面でまだそういう撮影はできないかもしれないとか言われてるが。とどうでも良いことをそれぞれの幹部が考えていると。


「それで?それは2人で済む話だっただろう?失敗自体は連絡されていたしな。現状は植民活動も進んでいる。場所によっては共生関係も成立している。昔みたいにまともに拠点ができれば軍事ありきではなくなる。この戦争が終われば軍も一本化する必要があるかもしれんな」

「どうせ宇宙軍と惑星を攻撃する帝国軍と攻撃力と特殊作戦特化の騎士団は残る。帝国軍自体がそうなるなら騎士団は名誉職になるだろうが」

「誰もがそうできないからの住み分けだろうに……それに外宇宙の侵略もあるかもしれないから結局軍は維持しなければならない。それに人類は弱すぎるからどうあがいても帝国軍だろう」

「人類側も帝国臣民になってるからな……国民皆兵への反対は多いが……」


 まぁ俺も前世でそんな事言われたら嫌だねって言っただろうしなと思いながらシタッパーは紅茶を啜った。


「そうは言うが一部で問題になってる税も納めず国民皆兵にも反対して何がしたいのかよくわからない連中はどうなるんだ?」

「そんなもの現地担当者に脱税の方でしょっぴかせれば良い、完全併合前なら前のほうが優先されるんだから。今のところわけのわからん税金システムはないが必要なら取り入れろ、いやシーザが判断するから口を出すことでもないな」


「で、話を戻そう」


 シュタインの一言で皆が彼女に視線を集めた。


「場合によっては人類側からも募集を掛ける必要がある」

「それはまた、悪の組織じみてきたな」

「向こうからしたらそのものだろうシタッパー」

「強制しないならそれでいいわ、帝国のあり方ではそれはダメ」

「それくらいわかってる!伊達に建国からの付き合いではあるまい!」


 まぁそうだな、そういうのが嫌いでこうして皆でやってきたんだし……。


「適応に関して読めるか?」

「まったく、お手上げ、量を減らしてまた様子を見るしかないな……」

「3人の国民皆兵としての順位は下がったからこれから人類……日本側が今まで戦ってきたような宇宙艦隊を引っ張り出していい勝負でも押しない限りは寿命まで戦場働きはなさそうだな、一応退役処理して戻ったら元の地位で復帰させよう」

「いっそ国民皆兵として順位があることとか恩恵ちゃんとあること伝えたらどうだ?退役もあるがよほどの自体でもなければ再度徴兵され軍務につくことはないし……基本的に優先されるのは元から宇宙帝国にいたやつだし」

「ん?恩恵?」

「税金払わなくて良い、これだけで十分だろ」


 俺ならなるね、徴兵順位56億番目とかだったら入ってたほうが楽だろ、上が死んでも年取れば下がってくんだし。そりゃ宇宙艦隊の会戦だと1億2億飛ぶけどすぐにはいかんだろ。それに100億に80億足してみろよ、どう考えても今の帝国臣民より人類は弱いぞ?まず徴兵されるのは逸材だけだ。


 それに全部が全部国民皆兵として働くわけじゃない、100億人全員に兵士としての仕事があるわけじゃないからな。だから帝国兵になると基本自宅待機で給金が来るように不満を出さないように俺達で考えたんじゃないか。給金も電子ポイント制だし。

 ちょっとゲスいけど家族ごと配置して戦死したら財産自体を国家で募集するような綱渡りも初期の頃は処理してやってきたからな。

 まぁ、それで奇襲や相手の作戦で他の高官ごと消えて指揮系統が消し飛ぶことも御愛嬌、俺達も命かけてるからね。


「適性も読めんし人類側からも募集しよう、帝国臣民か、いや公的以外でまだ人類でいいか。ややこしい」

「全世界同時中継か?」

「手の内を交戦国に明かす必要はない、沖縄九州は併合に関して選挙して決めるそうだ、いや決めたそうだ。九州は併合を賛成多数で可決したとか」

「そういやそんな話があったな、併合に関して正式にやってるのは何処だ?」

「わからん、シーザに投げておけ」

「ついでに帝国兵で任務についてないものから募集しよう、あくまで募集だぞナポレーン」

「騎士団はひとり抜けるだけで痛手だしね、戦ってないし国民皆兵制度は待機する人間のほうが多いんだよ。まぁこの100年で戦闘未経験のの方が珍しいけどね。宇宙戦争ってのはそういうものよ、ね?シタッパー?」

「ああ、大規模な艦隊戦は迂回機動にしろ何にしろ大忙しだからな。実際にその手で殺したやつはそれこそ限られるが……ウチの予備は艦隊強襲兵だし。艦の運用ができる人間は降ろしてはいない。だから海兵隊が全滅したとしても一部の師団長が無事なら宇宙艦隊自体は健在だ。さすがに総司令官のマリンが戦死するようなことになったらまずいが……俺の側近だからな」


 こうして失敗とその対策を考えたバルサク宇宙帝国の会議は幕を閉じる。

 こうして帝国兵の無役の軍人たちから募集し、人類側にも募集をした結果。




「ご尊顔を配し奉り恐縮にございます。帝国軍所属ヌペリットヌスでございます」

「はじめまして、テキサス出身のケール・マクドナルドです」

「よく来てくれた、このような危険な実験に付き合ってくれるとは。余も嬉しい」


 今日は挨拶だけでと下がっていった2人を見て皇帝は疑問を持って尋ねた。


「2人しか来なかったのか?」

「いえ、参加者が多すぎたので……どうにか決めようと思ったのですが……人類側が討論した結果彼が選ばれました。ヌペリットヌスはジャルドバルの親戚で彼の不名誉を覆したいと」

「不名誉扱いなのか?」

「いえ、別に……建前っぽかったのですが帝国兵もそれなら仕方がないと……まだ確立してないので全員に投与するわけにもいかないので……そもそも対応できない理由が量か体質化もわかってないのですし……2人でいいかなと」

「もし成功したらなにか願いを叶えてやれ、ある程度は利くだろう?まさか皇帝になりたいとかアッサーを嫁にしたいとかいきなり幹部になりたいとかは無理だが」

「ニチアサのやつだと勝てば幹部ってよくあるんですけどね」

「仮にしたとして何ができるんだ……居づらい思いをするだけだぞ」


 ため息を付いた皇帝は2人お頼みが無茶なものでなければ良いのだがと思うと少しだけ気になることを聞いた。


「そういえばどういう討論なのだ?大勢集める予定だったのだろう?人類側を1人絞るだなんて……」

「本当に聞きたいですか?」

「……ああ」

「彼は皇帝陛下のファンサイトを運営している一人です、あと動画サイトで陛下の映像を上げていたりしてたので」

「余はアメリカに苛烈な攻撃をした記憶があるが」

「自分がされたわけでもないでしょうし」

「割り切りは大事だな」

「それと占領下にない日本人からも多数応募が会ったのですが……」

「大丈夫なのか日本は?」

「さぁ……」


 なんでそんなところと戦争をしているんだろうと思った皇帝だがよく考えると彼が選ばれた理由が弱いと思った。


「ん、待て。どうしてそれだけで選ばれたのだ?」

「…………まぁ実験がうまくいったら教えます。失敗したら……死んでもいいません」

「…………わかった」


 シュタインもまさか陛下のエロコラ作ってて実物の写真もらってもっと良いの作るから待ってろでネット投票で勝ったみたいですとは言い出せず……。

 討論で勝ちましたと嘘をつくことになった。

 うまくいったらちょっとどつかれるで済むけど失敗してどつかれたら多分死ぬので人類の一人を守らねばならんと無駄なことを背負ってしまったシュタインだった。




「今までの傾向的に0.5mmでも多い可能性があるな……髪の毛一つでどんな効力があるんだ陛下は」


 2人の身体検査中に暇そうに呟くシュタイン。体質かな?量かな?どっちもかな?流石に試し切るには危険すぎる。髪の毛が危なすぎる。抜け毛以外でも試してみたいが……。


 0.05mm!これでいこう!人類側には毒すぎるだろうしな。劇物にもほどがあるわ。

 同時刻皇帝がなんとなくイラッとする中そんな事を考えるシュタインは準備を進めていく。


「検査終わりました、シュタイン博士」

「同じく終わりましたシュタインさん」


 どうやら終わったようだ。まぁ数分で済むからな。


「まず実験内容は陛下の髪の毛を食べることだ、それにより強力な力を手にすることができる。が、適応しないと死にはしないだろうが体調を著しく崩す。ここまでは事前の説明のとおりだが良いかな?」

「「はい」」

「一つだけ良いですか?陛下の髪の毛は自らいただけるのですか?」

「いや、抜け毛だ」

「どうせなら直接あるものが食べたいです」


 さすがエロコラ職人、変態か……。擬似的な技術で本人の全裸を完全再現出来ない後進技術と思ったらそのような手があるとは……地球の男の性欲は恐ろしいな。


 いや、確かに抜け毛以外で試す必要があるものな、いや被験者の頼みだ、叶えてやれと言われたしな、まだ成功してないけど成功率を上げるためだ。仕方がない、うん、試し甲斐がある。


「流石に陛下の髪に噛みつくのはダメだ」

「じゃあ抜きたてか切りたての髪でお願いします!」


 できるだろ、うん0,05mmくらい大丈夫でしょ、よし!ちょっと待ってろ、お前たちは準備しておけ!

 ん?じゃあってことは直接喰う気だったのか……?恐ろしすぎないか?人類。




「で?緊急と言うがどうした?失敗か?まさか死なせたのでは……」

「いえ、抜け毛ではなく直接毛髪から接収したいと」

「余の髪はパスタではない、金髪だが違う。ラーメンでもないから啜るな」

「いえ、直接0.05mm切らせていただければいいんで……」

「…………それ本当に被験者が言ったのか?お前の学術的興味じゃないだろうな?」


 疑いすぎだろ!私を何だと思ってるんだ!


「言いました、ファンサイト運営してるんですよ?それくらいいますよ」

「それはそれで嫌だが……」

「でもファンサ大事ですよ、皇帝として臣民に手を振るのと被験者のファンに髪の毛を0.05mm与えるくらいなんですか!歌って踊るよりは良いじゃないですか!ネイロみたいな仕事より楽でしょう!ほら、ね!」

「……まぁいいか、切っていいぞ。玉体を実験する栄誉を与えてやろう」

「ははーっ」


 そういえば髪も玉体だっけ?もしかしてかなり不敬なことやってたか?まぁ陛下なら許してくれるしいだろう。ニヤニヤしてるし……。




「切りたてほやほやだ、もう長さを揃えたから左と右どっちでも好きな……」

「いただきます!」


 そういうとケールは左の髪をパクリと食べ、使ってるシャンプーは市販のものではないとか言い始めた。

 そうなのか?陛下の洗髪剤など知らんが?洗髪剤作ってる会社にいたのかな?

 0.05mmでわかるのか、侮れないな人類……このような人材が多いなら帝国軍としても専門分野で徴収される可能性は高いぞ、未来は明るいな!


「う……」

「ど、どうした?」


 まだ食べてないヌペリットヌスが心配して話しかける。0.05mmでも多かったか……。


「うまい……力があふれる……」


 マジ?

 頭の中に前の実験で変貌した3人がちらつく。


「はああああああ!」


 見た目は変わらんな、成功か?


「力が溢れますね!うん!最高の気分だ!私と陛下は一つになった!」


 そうか……?いやまぁそういう文化もあるんだっけ?骨を食って血肉となり生きるみたいな?そういうやつか?


「成功かな?叶えられる範囲で願いを叶えてやってもいいが」

「改造手術をしてほしいですね」

「改造?」

「ええ、触手を出せるようにしてほしいのです」

「それだけか?まぁいいが」


 見届けたヌペリットヌスもその会話を聞きながら髪の毛をパクリと食べ平然としている。


 あれ?これ量間違えただけだった?ここまで大事にしておいて?

 まずいな……。普通に怒られてしまう……。


「私も体に力が溢れています、まるで制御の聞かないエンジンシステムです!」

「ケールはそういう物があるか?」

「ありません、無敵です」

「そうか……」


 とりあえずヌペリットヌスを検査するか。ケールも改造して。




「で?どうなったんだ?」

「ヌペリットヌスも成功です、ただ……力が定着していませんのでカプセルで馴染ませています」

「いよいよ悪の組織そのものだな……ケールは?」

「成功です、名前を変えて触手怪人ヌメヌメスとなりました」

「待て、何だその名前は?明らかに使い捨て怪人ではないか!そのようなこと……」

「本人の希望です、触手が良いと。名前もなんとかレンジャーだかみたいな感じが良いと」

「はー……戦隊モノ地球ではやってたんだな……余は恐ろしいぞ」


 触手怪人ヌメヌメスが陛下に向けるエロい目線と発想のほうがよっぽど恐ろしいと思いますけどね。


「それで会議を開く必要があるか?」

「しばらくは休ませましょう、量産体制に入ります。今のところ量が原因だと思うので……なぜか日本側の戦闘行動が停止しているようですし。シタッパーもようやく休暇を取れましたし」

「そうだな。それでケーン……ヌメヌメスはなにか叶えてほしい願いは会ったのか?まさか改造してくれが願いなのか?」

「陛下の水着写真が取りたいといってました」

「ダメだ!」


 電光石火の速さで却下された。減るもんじゃないんだし良いじゃないか。

 それで士気が上がるなら私だって水着で実験をするぞ。


 シュタインがどうでも良いことを考えて皇帝を眺めると。


「……何だその目は、叶えられるが、なにか嫌な情欲を感じるからダメだ」

「そうですか……」

「あと適応化したら名前変える決まりでもあるのか?あの番組みたいに」

「変えたければ変えればいいでしょう。我々は知りません」

「ヌペリットヌスは名前変えるかな?微妙に被ってないか?」

「…………さぁ」


 ”適応できれば名前を変えたいです、発音がしづらくてコンプレックスなんです!自分で名前を噛みます!ヌメヌメスが許されるなら何でも良いじゃないですか!自分の名前は生まれてから選べないんですよ!”


「変えるかもしれませんね」


 ヌペリットヌス。

 ペペンドッタ星の言葉で油ベチャベチャを意味するその言葉は親のセンスを疑うものだった。

 ちなみにジャルドバルの意味は酒飲みである。


 それを知っていたシュタインは流石に同情していた。

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