第30話:なるるん、盟主になるるん



 ギルド。


 このゲームに限らず、MMORPGに付き物の、複数のプレーヤがグループを作れる機能。


 このゲームの中ではギルドではなく『血盟クラン』と呼ばれる。


 友人知人が、血盟を立ち上げたり、血盟に所属したりし始めると。


「なるるもウチ、来ない?」

「なるる、ウチの血盟に入りなよー」


 みたく、お誘いが。


 ただ、どこかに所属してしまうと、その中で完結してしまって、あっちへふらふら、こっちへふらふら、できなくなってしまうかな、と、考えて。


「あはは。考えておくねー」


 と、煙に巻いてたんだけど、さすがに、そろそろ、と。


「ねえ、L、ウチで血盟立ち上げようか?」

「ん? いいんじゃない?」


 当時、一番仲のよかった友達に相談してみたら。


「んじゃ、作るかー。名前、何にしよう?」


 色々と、血盟の名前の候補をふたりで並べて。


「よし、これかな? 『なるるん探険倶楽部』」


 何故か?


 この友人や、他にも数名とツルんで。


 狩りそっちのけで、マップのあちこちを『探険』するのが趣味だった、なるるん。


 狩場のみならず、何もない場所や、海の底なんかを、探険しまくりで。


「よし、じゃあ、作るよ?」


 血盟の作成は、二十歳になってれば、誰でも作れる。


 村の教会へ行って、神官様に話しかければ。


 メニューから、血盟を設立する、を、選んで、名前を入力して……。


「あれ? はじかれる……」

「なんで?」

「名前が長すぎるっぽい……」

「えー」


 ってことで。


「仕方ない、『なるるん探険隊』で行くか」

「うむ」


 みたいな感じで。


 とりあえず、血盟、設立。


 なるるが、血盟の主、盟主クランマスターになった。


 その友人を血盟に勧誘して、ふたりクラン。


「AちゃんとSちゃん、それにAさんとMさんも誘ってみるかー」

「だねー」


 って感じで、仲の良かった友人数名を加えて。


 血盟を作ると。


 血盟チャットや掲示板が使えるようになって、連絡が取りやすくなり。


 血盟倉庫が使えるようになって、アイテムを共有できるように、なる。


 また、血盟のレベルを上げると、『旗』を付けることができるようになる。


「まぁ、でも、旗はまだまだ先かなぁ……」


 レベル上げが結構、お金かかるし、スキルポイントも必要だし、先送りで。


(旗は、ちっちゃなアイコンを作ってアップロードすると、キャラの頭の上に付いてるキャラ名の横に、そのアイコンが旗として付加される)


 とりあえず、こうしておけば、他のクランからのお誘いも断れるしねー。


 って感じで、やってるコトは以前とほぼ変わらず。


「よし、今日は北の海に潜ってみるかぁっ」


 って。


 レベル上げ(狩り)しろよ? 的な(笑)




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る