新しいはじまり2

 翌朝、ディープは優しく肩をゆすられた。

「う、ん……」

「そろそろ起きませんか?」

 エリンの声がした。

 カーテンが開けられ、「いいお天気!」弾んだ声。

(まぶし……)

 ディープは思わず腕で顔を覆った。室内に明るい光がいっぱいに差し込んで、そして、思い出した。

(……あ、出かける約束だったんだ)


 大きく伸びをして、ようやくベッドから出ると、乱れた寝具を整える。

(ほほう。感心、感心……)

 そう言っているラディの顔がチラついて浮かび、苦笑する。

(うるさいな。ちゃんと努力してるよ)

 

 当直の回数は増えたが、以前のようなめちゃくちゃな生活ではなく、当直以外の日はちゃんと帰宅するように努めている。

 ディープは窓を開けて、空を見上げた。

(ああ、お天気になって良かった)


「おはよう」

 キッチンに行くとコーヒーの香りがしていて、

「あ、おはようございます」

 エリンはグラスに入ったオレンジジュースを渡してくれた。

「ありがとう」

「良かった。ちゃんと起きられましたね。お天気も良いし、お出かけ日和ですね」

 エリンはニッコリとして、嬉しそうだった。


 今日はふたりともオフで、一緒に出かける計画があった。

「君を連れて行きたい所があるんだ」

 先日、ディープはそう言って、エリンをはじめて遠出に誘ったのだ。


 

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