第2話
目を開けると噴水がある広場で目が覚めた。辺りを見ると同じ様な感じの人がとても多くみられた。多分同じプレイヤーだろう。というか多いな。
「さて、最初は冒険者ギルドに行けば良いんだろうけど・・・・これじゃ結構混むよな。」
最初はこの街を散策するか。
ある程度街を散策しているとテイマーギルドなるものを見つけた。
「テイマーギルドか・・・・職業がテイマーだし登録しておいた方が良いよな?」
これからお世話になるかもしれないし一応今のうちに登録だけはしとくか。
テイマーギルドの中は閑散としていて、受付にはやる気のなさそうな女性が項垂れていた。
「悪かったわね、やる気のなさそうで。」
「え?聞こえてました?」
「大体分かるのよ、そういうの。それで、君は?」
「あ、えと・・・・」
確か・・・・渡り人で通じるんだったよな。
「渡り人で、職業をテイマーにしたので一応登録しておこうかなと。」
「てことは・・・・お客さん!?」
そう言うと女性はガバッと顔を起こして、受付の机を飛び越えこちらに飛び込んできた。
「いやー!久方ぶりのお客さんだぁ!」
「え?久方ぶりって・・・・テイマーって人気ないんですか?」
「実はそうなのよ。ま、詳しい話は受付で話すから、椅子に座ってて。今お茶持ってくるから。」
そう言ってその女性は受付の奥に消えて行った。
「それにしてもあの反応からして・・・・ワンチャンテイマー不遇職ありえるか?」
いや、それを決めるにはまだ早い。
「お待たせー。はい、紅茶ね。」
「ありがとうございます。」
「それでテイマーの人気があるかないかよね。」
「まぁ、はい。」
「結論から言って全然ないわよ。」
「ええー・・・・。」
「それにも理由があってね・・・・まずテイムするには美味しい食事が必要なのよ。そしてこの世界の子たちって意外とグルメでね。でもねぇ・・・・この世界の食事って殆ど美味しくないのね。美味しいと言えるのは一部のドラゴンとかの危険生物なの。」
その女性は溜息をつきながらまた項垂れた。
「テイムが出来てもスライムやゴブリンなどの低ランクだけなの。・・・・ってそういえば渡り人のテイマーは確か従魔の卵支給されるんじゃなかったっけ?」
「え?そんなのあるんですか?」
「うん。一回見てみたら?」
メニューを表示するには・・・・あぁ、普通にメニューって言えば良いのか。
『メニュー』と心の中で唱えた。
おぉ・・・・インベントリとかあるのか。で、本題のやつは・・・・あ、多分このプレゼントBOXかな?
プレゼントBOXを開いてみると確かに卵が入っていた。
鑑定もあるし一回詳細見てみるか。
『従魔の卵』⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
どんな従魔が出るかは完全にランダム。
孵化までの時間03:00
はてさて何が出てくるんだろうか?とりあえず一回受け取ってみるか。
受け取ると卵はインベントリに移された。
て、インベントリから卵を押して・・・・この場合は使うなのか?一回使ってみるか。
使うと押したらインベントリにあった卵が消え、手元に従魔の卵が移動した。
「これが卵か・・・・。」
「おー、良いじゃない。卵から孵化した子は主人を裏切らないから安心して良いわよ。」
なら安心だな。
「あ、そうだ。卵が孵化するまでの間にこれ書いちゃう?」
そうして女性は机の上に一枚の紙を置いた。
「登録書。必要でしょう?」
「そうでしたね。えっと・・・・ここに名前を記入すれば良いんですか?」
「そうね。そうしたら、こっちの水晶に手を翳してもらうわよ。そしたらステータスがこっちのプレートに反映されるからね。」
言われた通りに名前を記入して、水晶に手を翳すと水晶が輝き始め、少し経つと光が収まり、ステータスのプレートに文字が浮かび上がってきた。
「はい、これで君はテイマーギルドの仲間入りだ。よろしくね新人君。・・・・そういえば名前を言ってなかったな。私はレイナ・フォルン気軽にレイナと呼んでね。それで君は・・・・コウ君ね。これからよろしくね。」
「これから宜しく頼みますレイナさん。」
そうこうしていると卵がカタカタなり始めた。
「そろそろみたいね。」
卵に目をやると、カタカタ鳴っていたのが急にピタッ止まり、代わりに卵が発光し始めた。
「ま、眩しい・・・・。」
「これは・・・・発光が凄いから中々良いのが産まれそうね。」
「そ、そんなのあるんですか?」
「うん、これだと・・・・最低でもBランク以上の魔物かな?」
そんな基準があるのか・・・・参考になったな。
そして、少し経つと発光がさらに強くなり、思わず目を瞑ってしまった。
ここまで眩しいのかよ・・・・。
目を瞑って数秒、卵がピシッという音をたてたのが聞こえ、目を開けるとそこには・・・・
「ぺ、ペンギン?」
「ピィー!」
ペンギンの赤ちゃんが産まれていた。
「おぉ!やるじゃない!ブレスペンギンじゃないか。」
「ぶ、ブレスペンギン?」
「そうブレスペンギン。ブレスペンギンはその名の通りブレスを吐き出せるの。そのブレスの威力大人になると亜龍、つまりワイバーン程度なら一撃で葬る威力を出せるんだよ。でもまぁ、幼くてもDランク程度の魔物なら軽々と葬るんだけどね。」
「この子にそんな力が・・・・」
「ピィー!」
「それじゃ、後は名前をつけなきゃね。」
「名前・・・・ですか?」
「そう、これから苦楽を共にする仲間になるんでしょ?だったら名前をつけた方がより仲が深まると思うの。」
「確かにそうですね。名前か・・・・」
外見は茶色の羽毛に覆われているし、目は黒っぽい茶色か。うーんペン太?いやダサいか。でもなぁ・・・・それしか思い浮かばないな。・・・・そうだ、鑑定で一回見てみるか、何か思い浮かぶかもしれないし。
『ブレスペンギンの赤ちゃん』♀
ブレスを吐くことが出来る唯一のペンギン。そのブレスはワイバーンを屠ると言われるほど威力が高い。プライドが高く、滅多に人に懐かない。
ア、オンナノコデシタカ・・・・。
うーむ、それじゃあ・・・・滅多に懐かない・・・・すなわち、女王とかの気品が高い・・・・ならば、答えは一つ!
「お前の名前はクインだ!よろしくなクイン!」
「ピィー!!」
「喜んでいるみたいね。」
「ええ、良かったです。」
「それじゃ、依頼はどうする?」
「そうですねー・・・・まだ街を散策し終えてないので、終わったらまたきます。」
「分かったわ、この街は広いから色々面白いものもあるわよ。それと、従魔の扱いに慣れるためにフィールドに出てみるのも良いわよ。」
「分かりました、ありがとうございます。」
「うん、こちらこそー。良い暇つぶしになったからねー。」
そうしてテイマーギルドから退店した。
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