いっそレンタルメイド。 〜僕の彼女になって〜

猫野 尻尾

第1話:レンタルメイド?

メイドに取り憑かれてる僕です、なのでメイドシリーズってことにしておきます。

理想的最上級彼女の人間バージョンとでも申しましょうか。



最近、レンタルメイドさんってのがあるらしい。

レンタル彼女ってのは聞いたことあるけど・・・メイドさんは初めて聞いた。


家にメイドさんが来てくれるんだろ?

メイドさんが僕んちに来て、あれやこれややってくれて一緒にいてくれる

って、それだけで楽しいじゃん。

めちゃ興味ひかれる。


でもな・・・いざとなるとメイドさん頼む勇気はちょっとないな。


僕の名前は「幸野 福志こうの ふくし」現在、某大学の学生。

歳は20歳。

自分で言うのもなんだけど人見知りで消極的な性格だしメンタル弱くて

小さなことですぐ悩むタイプ。

恋人は欲しいけど・・・ナンパするほど度胸もない・・・現在、彼女の

かの字もない。


なもんである日、飲み会で友人から


「今時、彼女の一人や二人いないなんて男としてどうなの?」


って言われて以来、周りのみんなには彼女がいるって嘘をついて見栄を

はってる始末。


だからなんとしても彼女が欲しい。

このさいレンタルでもって誤魔化してもいいけど彼女よりどっちかって言うと

メイドさんがいいな。

いっそレンタルメイドさんでも頼もうか、なんて考えたりしたけど、やっぱり

そこまで踏み切れずにいた。

マッチングや出会い系はちょっと怖い・・・やっぱり当分彼女はできそうもないか。


そして大学が休みのある日のこと。


午前中、僕の独り住いの安アパートに若干一名女性が訪ねてきた。

しかもメイドさんの格好してるし・・・。

ん?メイド?・・・なんでメイド?

歳の頃なら20前後か・・・その子を一目見て僕はめちゃ自分のタイプだって

思った。

そりゃそうなんだ、実はタイプなはずなんだよ。

でも会ったこともないし知らない女の子。


「え?何かのサプライズ?・・・それとも法人かなんかの勧誘?」


キツネかタヌキにつままれたってのはこのこと。


幸野 福志こうの ふくし」さんで、いらっしゃいます?」


「そうですけど・・・朝からなんでしょう?・・・」

「いきなり玄関に花が咲いたみたいだし、いい匂いはするしで、ちょっと

ドキドキしてるんですけど・・・」


「私、レンタルメイド代行サービス・ユートピアってところから来ました、

メイドの瑠衣るいって言います。


「る、るいちゃん?・・・れんたるめいど?・・・ゆ〜とぴあ?・・・」


「はい、レンタルメイドです」

「幸野さん、私どもユートピアの会員さんになりましたよね」


「会員?・・・知りませんけど・・・」


「たしかにうちの会員さんになってらっしゃいますけども」


「だから知らないって・・・ああ、もしかしたら酔っ払っててポチって

やっちゃたかもですけど・・・覚えてないです・・・」


「メイドをレンタルなさいませんでした?」


「いやいやまじで覚えないですから、なさいませんでしたと思いますけど・・・」


「幸野さん、独身でらっしゃいますよね・・・家事全般お困りじゃありません?」


「そりゃま、なにもかも自分でやんなきゃいけないすからね・・・正直言って

面倒くさいです、誰かに代わってほしいくらいです」

「ってかそんなこと関係あるんですか?」


「家事全般、頼みたくてうちに登録なさったんじゃないんですか?」


「覚えてないんだよな〜・・・なに?・・・それで、わざわざ僕んちまで

訪ねて来たんですか?」


「すでにレンタル契約成立してますからね」

「お望みだったんでしょ?・・・私が幸野さんちのメイドになること」


「それまじ?・・・待って待って、だってさ、な〜んも身に覚えないんだよ?」

「まあ、せっかく来たんだし無下に追い返したりはしませんけど・・・」

「もしお願いするとしてもタダでメイドさんになってくれるわけじゃない

ですよね?」


「もちろん料金はかかります」

「タダなんて・・そんなこと世の中舐めてますよ、幸野さん」


「舐めるほど勇気ないですよ」


つづく。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る