第16話 当時の環境と父のマイカー
この町は前の町ほど冷えない。せいぜいマイナス10℃がそこらだ。
しかし冬は雪が降る。砂浜に雪が積もっていてもここに来た。
この浜の真ん中に下水を中心とした沢が流れている。砂浜になっている部分は町を覆うほどでないが広いく、全長は2〜3キロメートルあると思う。
両側は岩場になっていて、どちらも切り立った崖のある丘陵になっている。
海に向かって右側の崖の前は岩場の磯で、ここは浜と同じく人が夏の週末にバーベキューなどをしたりすることがあった。
左側の崖は高さ20メートルくらいとそれほど高くないが、崖自体が海に接していてここで海岸線を徒歩で進めなくなる。ただ、この丘陵はすぐに終わるので、そのうしろに道が通っていて、浜から少し離れた左側の土地はこの道を通れば行けた。
浜の右側は崖のある丘陵を海より手前で避けるか、岩場を歩いて行くと、まだもっと広い砂浜が広がっていた。
小学生なのにこの広い砂浜にまで時々出向くこともした。
その後、この崖にトンネルが出来、大きな通りになった。
ずいぶんと荒れた学校、家庭生活だが、海洋に面した美しい海岸の環境も近くにあった。
家では歳上の先輩猫の滑らかな毛並みと肌を突き合わせた日常をおくった。
しだいに俺は彼が可愛くなり少々いたずらをするようになった。
姉が俺に教え込んだのは彼の背をくすぐると、彼が反応して背中の毛皮をぴくぴく動かすのを面白がると言うのがあった。
俺は面白がって彼の背中の毛を触るか毛を引っ張ったりもした。
彼は上の方が黒い毛をしている。その黒い毛の中に時々白い毛が少し混ざっている。それもその白い毛が硬くて長い。子供の俺はその白い毛を手で引っ張って抜いた。
すると彼は凄く痒がったり、痛がったりして怒った。調子に乗り過ぎて凄く彼に怒られて威嚇されたり齧られたりした。
悪いことをしたのは俺なのだから噛まれても当然だと反省もするが、面白がってまたやってしまう。
そんなだから親や教師にボコられるのだろうか。
それでも食事の時は彼へおかずの好きなものを分けてあげたりする。それで食事の時は俺の傍に来るが、それ以外では避けるようになる。
それでも俺は彼への信頼があったように思う。
大人が子供の俺にするようなことが、俺は自分よりも小さい猫へとそんな行為をさせるようになるのだろうか。そして弟へも…
こうして美しい砂浜と海洋と滑らかな毛並みの猫は俺を癒やしたのは間違いない。
前の町ではあれだけ昆虫や小動物に興味を持っていたが、ここに来て変わるはずがない。海に出て来たのだから海岸にいる生き物に当然興味を惹かれる。しかし磯にどこにでもいたフナムシには惹かれなかった。
また、波間にいて波がひいた後砂の中に潜るヨコエビ類にも興味がわかなかった。
これらは言わばゴキブリの類いの状態で目に入るからであろうか。
ドブ川にいるヒルの類いほどではないが、あまり歓迎される存在ではなかったし、そもそも手で捕らえられなかった。
岩場の中にいる磯ガニは簡単に捕らえられたが、飼えも、食べられもしないため観察するにとどめたと思う。
ただ、小さな入江や潮溜まりの中にも小さな魚類がいて、これに憧れたのは確かである。
前の町でドジョウに憧れたのがそのままここで出た感じだ。
しだいにこれら小魚類を手摑みで捕らえようと積極的に試みるようになり、とうとう捕えるようになる。
ただ、海にいる小魚は家で飼育出来ないから持って帰った記憶はないが、渓流などにいる小魚は捕らえて飼おうとした。しかし淡水の小魚も大体は家にたどり着く前に酸欠で死んでしまうのだが。
こう言う田舎での趣味的指向が釣りキチガイへと向かわせて行くのだった。
この頃は親父も自家用車を持つようになり、週末の家族旅行にこれで行くようになる。
車で滝のある渓流や観光地へ行った時は、そんな小魚捕獲作戦にひたすら没頭していた。
親父の車は軽自動車で、いくら家族が子供3人とは言え5人を乗せて旅をするには向いていない。登り坂に差し掛かるとシフトダウンしないと減速してしまう。
母はゆったりとしているとか言うが、ただ単に
世界制覇の野望のため、いかなる出費も押さえたいのか親父の車を軽にさせた黒幕をしたのかわからないが、あらゆる面でそれを発揮した。
路上で外に走る車を見てもある1台以外我が家族の車の光景を他で見たことがない。
軽自動車に家族連れ5名を乗せていると言うことを、目撃した1つの例外を除いてまず見なかったのだ。
しかし軽自動車にこの乗車状況は法的には触れないらしい。
今は12歳未満の子供3名では大人2名に相当するらしい。
大人1人を子供では1.5人と言う定義だと言う。
それでも少旅行するにしても、とてもそれで十分な性能を発揮したようにも思わない。
トラックにでも追突されたら全滅だ。
ある程度の乗用車を中古車の中から探すと言うのが普通若い家族連れのする選択ではないだろうか。
母は運転免許も持っておらず、車の知識も皆無なのにこの件についても独善的に押し通した。乗る車は軽でなければならないと一生涯押し通していた。
それで後々に父が車で2時間の距離にある町に赴任した時も自動車通勤を軽自動車でした。
単身赴任するか、高校生であった俺が編入転校をして家族ごと引っ越すかと言う話になっていたが。
まぁ、こう頻繁に転勤話の来る親父の勤務態度も
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます