四通目 裏社会からの手紙
前置きはナシだ。
おめーを狙ってるやつがいる。
なんで分かったとか、どうして教えてくれるのかとか、くだんねーこと訊くのもナシだ。どうせおれが答えてやれることなんざ小指のさきっぽほどもねえ。
おれがだれか、なんてのも訊くなよ。
おめーはただおれの忠告を聞いておけばいい。
言っておくが、警察に駆け込んでもムダだぜ。
上層部にグルになってるやつがいるからすぐ握りつぶされるだろうし、ヘタすりゃ署内で殺られっちまうのがオチだ。
どうせおめーのことだからのほほんとしてやがるンだろうが、これはマジだ。今回だけはおれの言うことを信じろ。
この件に関しちゃ、おれはおおっぴらに動くわけにいかねえ。利害がごちゃごちゃに絡みまくっていやがるからな。
とにかくおれからの忠告はふたつだ。
あの件からは手を引け。
しばらく家ンなかにでもひき籠ってろ。
といってもどうせおめーは聞かねえンだろ。
なにか言いたいことがあるなら聞いてやる。助けがいるなら、言え。
おめーのことはどうでもいいが、おめーが死ぬと、泣くやつがたっぷりいやがンだよ。まったくめんどうかけやがって。
明日使いをやる。そいつに返事をわたせ。
しちめんどくせーことに巻き込まれやがって、ま、おめーらしいけどな。
せいぜい長生きしろよ。
~ この手紙の返信はコメント欄に…… ~
※今回のお手紙は『📞久里琳』さんに書いていただきました。
久里琳さんはとてもユニークでオリジナリティの高い作品を書く方です。キャラクターの作りこみがリアルで深くて、長編ではそのスケールの大きさとドラマチックさにぐいぐいと引き込まれます。短編では人の心をえぐっていくような鋭い筆致で、人間のいろんな面を見せてくれます。
わたしのおすすめは長編の『罪の女の歌を歌おう、コカ畑の木陰で、カリブの波間で』。キャラクターといい、ストーリーといい、作者さんの最高傑作だと思います!
まぁとにかく読んでみてください。素晴らしい作家さんです。
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