未言のおまじない
奈月遥
仲睦まじい夫婦になれる咲き殻のおまじない
【おまじないの核となる未言】
咲き殻(さきがら)
花が散った後に枝に残る花のがく、おしべ、めしべのこと。
【効能とその因果】
咲き殻は花が散った後に残るもので、花の種類によっては花弁よりも色鮮やかであり、美しい。
そこから、恋という花が散った後に来る夫婦の仲を美しく佳いものにする、というおまじないになる。
【手順】
①咲き殻を摘む。
・花を見る時に、自然と視界に入り、無理をせずに手が届くところの咲き殻を取るのが良い。
・背伸びする程に高い位置にあるものを取ると、『高望みな幸福』になってしまいおまじないが叶わなくなる。
・しゃがんだり腰を曲げたりする程に低い位置にあるものを取ると、『妥協した幸福』になってしまいおまじないの働きが悪くなる。
・もちろん、花弁をむしって咲き殻を作るのはもってのほか。自然に花が散った咲き殻でなければ『運命の力』は得られない。
・あまり多くの咲き殻を取り過ぎないこと。咲き殻はこの後、熟して実りとなるものなので、取り過ぎると『子宝に恵まれない』『成果が得られない』まじないともなってしまう。
②摘んだ咲き殻を乾燥させる。
・ドライフラワーを作る要領で、日の当たらない風通しの良いところで自然乾燥させるのが理想的。
・早く乾燥させようとして日に当てたりすると、咲き殻が色落ちしたり形が損なわれたり、触っただけでボロボロと崩れたりするので、注意する。
・しっかり乾燥させないと咲き殻が腐り、夫婦仲が腐る(腐れ縁になって切れなくなる)ようになるので、注意する。
③乾燥させた咲き殻の中から、自分が好ましいと思えたものを小瓶に入れる。
・とにかく、自分本位で素直な『素敵だと想える気持ち』が大事。
・自分が素敵と想えるなら、色褪せてても形が整ってなくても、確かな拠り所となる。
・逆にどんなに形が整っていても、誰かが称賛したとしても、自分が嫌ならおまじないは発揮されない。
④咲き殻を入れた小瓶を大切に保管する。
・あまり人目に付く場所に置くのは好ましくない。夫婦仲を他人に見せびらかせるようになってしまう。
・時々取り出して小瓶を眺めると、自分が頑張った思い出やその時に願った想いを取り出せて、穏やかな気持ちになれる。
・知らない内に小瓶が割れたり、咲き殻が崩れたりすると、夫婦仲の破局に繋がる。もし小瓶が駄目になっても、すぐに気づいて片付けをきちんとすれば夫婦仲も壊滅的になる前に修復されるはず。
・駄目になった小瓶をいつまでも持っているのは、夫婦仲が修復不能になっても関係が続くようになるので、すぐに処分すること。
【捕捉】
花の種類によって『幸福のカタチ』が少しずつ変わる。望むものがあるなら、その花の咲き殻を使うこと。
・梅
香り高く徳の高い花なので、特にパートナーの出世や気品を高める。
他人から見ても裕福さや格式の高さが感じられるような、『成功』による幸福を築ける。
反面、梅は古代中国からもたらされ、『うめ』という言葉も中国の音を借りたものなので、夫婦の関係性は、良く言えばお互いの距離感を適度に保ったもの、悪く言えばどこか他人行儀なものになりやすい。
・桜
淡い紅色に咲き香りも穏やかな花なので、慎ましくも平穏で何もなくても満ち足りた幸福を得られる。
反面、桜は虫が付きやすい木なので、人の良さから友人や後輩が家に入り浸るようになり、そのお世話で出費が嵩み勝ちになりやすい。
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