桃姫様 MOMOHIME-SAMA
羅心
【桃姫様の主要な登場人物】
桃姫(ももひめ)
桃太郎の娘。村が鬼に襲われ両親が殺害された衝撃で食事が食べられなくなっていたが雉猿狗との旅の中で心が打ち解け食べられるようになった。
ぬらりひょんの館での一件後、伊達政宗によって伊達藩に迎え入れられ五郎八姫と共に女武者として育てられる。
雉猿狗が愛情を込めて握った不器用なおにぎりが好物。蹴鞠が得意で誰かに止められるまで蹴り上げ続けること可能。
雉猿狗(ちえこ)
桃太郎に忠誠を誓った犬、猿、雉の獣魂の化身。生前の桃太郎からの祈りを受けて、桃姫を護り抜くという誓いを立てている。
旅路を急ぐ者でもハッと振り返るような銀髪の麗人。夜中に宿屋を抜け出して"何か"をして旅の資金を稼いでくる。
桃姫の為なら死ねるが、死ぬと桃姫を護れなくなるという深いジレンマに苛まれている。
温羅巌鬼(うらがんき)
鬼ヶ島の現在の首領であり、桃太郎を殺害した若い鬼。人間に対して強い憎悪を持ち合わせており、現世に地獄を作り出そうとしている。
桃太郎によって母鬼と共に刺殺されるも、父である温羅の特性を受け継ぎ、命を二つ持っていたため生き残った。
幼い桃姫に対しては、現世の地獄を見せた後に殺すために敢えて生かした。
役小角(えんのおづぬ)
千年前に不老不死を手に入れた伝説の修験僧。前鬼、後鬼という梵字の書かれた白い布で顔を隠した大鬼を連れ従えている。
千年善行という修行で天に届く程の功徳を積んだ事により、莫大な法力と呪力を得ている。
「千年善行を行ったのだから、千年悪行を行ってもよい」という歪んだ陰陽の理屈を掲げて現世を暗躍する。
巌鬼のことを幼少期から温羅坊と呼び続け、成長して鬼ヶ島の首領となった巌鬼から「俺を舐めるな」と怒りを買っている。
鬼蝶(きちょう)
第六天魔王こと織田信長の妻。本能寺の変にて全身火傷を負い死にかけていたところを役小角が連れ去り鬼女とした。
役小角は織田信長も連れていくつもりだったが、既に切腹で絶命しており、死者を鬼に転じることは出来ずに諦めた。
織田信長が失われた現世を無意味と感じているが、鬼としての残虐行為には愉悦の笑みを浮かべることがある。
役小角からは幼い巌鬼の教育係を任されており、成長した巌鬼のことを現在でも「巌ちゃん」と呼び、母や姉のように振る舞っては巌鬼から睨まれている。
カシャンボ
紀伊の山奥に暮らす河童たちの長。大岩のようにゴツゴツとした青い肌を持ち、甲羅を背負う巨大なイボ蛙で、河童に村の子供たちの尻子玉を集めさせていた。
その理由は、村の子供たちが娘のたまこをいじめたからであり、鬼蝶に襲撃されて堺から逃げてきた桃姫が子供たちに謝罪させて事なきを得た。
喰べるように見せていた尻子玉は実は一つも喰べておらず、「あんな臭いもの、おらが食うわけねぇべな」と箱の中に収めていた。
河童と村が友好関係を結ぶと、感謝の礼にぬらりひょんへの紹介状を渡し、雉猿狗が次は伊勢に向かうと聞いて河童の形代を桃姫に預けて天照神宮を詣でるように頼んだ。
天照大御神(あまてらすおおみかみ)
台風による長雨によって太陽光を吸収できず、神力が切れた雉猿狗が遂に倒れると、桃姫は雉猿狗を背負って天照神宮に向かった。
そして、雨に濡れながら河童の形代を掲げて祈りを捧げると、分厚い雨雲が裂けて陽光が境内を照らし出し、雉猿狗が目を覚ます。
天界から黄金に光り輝く天照大御神が姿を現すと、桃姫から形代を受け取り、旅路の役に立つでしょうと、雉猿狗の額に指先で触れて強力な神術を授けた。
おたつ
志摩で船頭をしている女性。船頭をしていた旦那の弥彦を海難事故で亡くしており、弥彦の船だけが海岸に帰ってきた。
この地域では女は普通海女になるところを弥彦の船を使って珍しい女船頭をしていた。
訳ありそうな桃姫と雉猿狗の二人を遠くまで運ぶのを最初は嫌がったが、雉猿狗から運賃3年分の小判を受け取ると、安房まで運ぶことにした。
まずは伊豆を経由するために船を出すと、船幽霊に遭遇する、弥彦の姿を見たおたつは狂乱し船頭をやめようとするが、伊豆で桃姫に諭されて安房まで運ぶことにする。
その途中、磯撫での群れに遭遇するが雉猿狗の神術で無数の稲妻を落として撃退する、しかし沖に流されてしまったところを弥彦の船幽霊が安房の海岸まで導いてくれた。
ぬらりひょん
奥州妖怪の頭目。東北の森の奥に巨大な館を構えており、鬼ヶ島の軍勢に追われる桃姫と雉猿狗を匿った。野狐禅という名の黒狐の妖狐を連れている。
匿った理由は、カシャンボからの紹介状を見たことと、鬼は妖怪の敵であること、そしてなにより桃太郎の鬼退治の話を知っていたからであった。
到着時点で11歳になった桃姫と雉猿狗を5年もの歳月、館で暮らさせた。館には蔵書部屋があり、その書物を桃姫は読んで学び、雉猿狗や妖怪と共に剣術や体術の訓練をした。
奥州の森の綺麗な水と空気は、桃姫と雉猿狗の体にとって最良の栄養となって健やかに成長していった。
しかし、桃姫が成長していくにつれてぬらりひょんは己の子を産ませたいと思うようになっていた。
桃姫16歳の誕生日に、いよいよ桃太郎の血脈とぬらりひょんを混ぜた最強の妖怪を作りたいという野望が溢れ出す。ぬらりひょんはその思惑を看過した雉猿狗と激しい戦闘になった。
雉猿狗との戦いに敗れ、桃姫に許されて反省した後、伊達政宗との契約によって桃姫の肌に触れると頭が破裂するという呪いを自らに科した。
その後は奥州妖怪の頭目として、鬼退治をする桃姫と五郎八姫に協力するようになり、特に桃姫に対して危害を加えようとする者に対しては容赦しない。
野狐禅(やこぜん)
ぬらりひょんに丁稚奉公する黒狐の妖狐の少年。桃姫様、雉猿狗様と呼び、ぬらりひょんの館では非常に礼儀正しく振る舞う。
しかし、長い前髪に隠れたぐるぐると渦を巻く特殊な眼を見たものを深く眠らせる妖術の持ち主であり、かつては伊達藩の役人にその力を利用されて悪事に加担していた。
伊達政宗の手によって捕まると、役人は処刑されたが、ぬらりひょんが助命を申し出て、丁稚奉公の身分となった。
桃姫からは「野狐禅くん」と呼ばれて信頼されているが、同じ獣である雉猿狗には最初から警戒されている。
雉猿狗いわく「私はなんだか無性に野狐禅様の喉元に噛みつきたくなる瞬間があります……私の犬の部分がそうさせるのです」とのこと。
伊達政宗(だてまさむね)
伊達藩藩主。独眼竜の異名を持つ武将。豪快な考えの持ち主で奥州妖怪を駆逐せずに共存していく道を模索している。
必ず息子が生まれると考え五郎八の名を考えていたが、娘が生まれたため五郎八姫と名付けた。
五郎八姫のことを「いろは」ではなく「ごろはち」と呼び、伊達家の跡取りに相応しいと考えている。
五郎八姫(いろはひめ)
男児として育てられた伊達政宗の娘。幼少の頃から伊達藩の侍たちに憧れており、ござる口調で喋るのが癖になっている。
同い年の桃姫を初めて見た瞬間から猛烈に惚れており、自分の正妻として伊達家に迎え入れたいと本気で考えている。
剣術の腕前は確かで、16歳の時点で伊達藩に存在する全道場の免許皆伝を得ている。
初めて戦場に立ったのは12歳。初めて人を斬ったのは14歳。三度の飯より戦が好きで桃姫からは戦闘狂だと思われている。
大谷吉継(おおたによしつぐ)
豊臣家の忠臣。業病を患っており顔を白い頭巾で隠している。非常に博学で知識欲が強い。
役小角が大戦前に弱気になっている石田三成を殺害し、西軍の総大将に成り代わった事に気づいて、密かに接近する。
参謀役として取り立てられると「大一大万大鬼」の軍旗を考案し、天下分け目の決戦に向けて鬼神隊と鬼影隊を結成する。
悪路王(あくろおう)
千年前の蝦夷に現れて悪逆非道を極めた鬼の王。人間の身でありながら鬼の王を名乗り、自身を崇拝する信者らと共に蝦夷地に鬼の国を作ろうとしていた。
白絹のような長い髪と初雪のように透き通った肌を持ち、彫刻のように鍛え抜かれた肉体と女のような美しい顔付きをしていたが、
両眼が瞳孔のみならず白目まで赤い魔眼の持ち主であった。
不敵な笑みを浮かべながら女のような声音で喋るが、武器は両手に握る隕鉄の阿吽像であり、振り下ろせば人間の頭部をいとも簡単に砕いた。
坂上田村麻呂が率いる討伐隊に不老不死になる前の若き役小角が参加した。
多くの犠牲の末に討伐は成功したが、役小角は悪路王の底知れぬ魅力が忘れられず、恐山の頂にて燃やす寸前だった悪路王の頭髪を一束切り取って懐に隠し入れた。
役小角いわく「純然たる悪」そのものであり「超然たる美」そのものであったという。
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